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2020年8月

2020年8月30日 (日)

自民党総裁選

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 突然、安倍首相が辞任発表をし、コロナでニュースが少なかった報道陣も活気づいてきたようだ。ところで、ポスト安倍を決める重要な自民党の総裁選について、あまり知らないことに今更気が付いた。自民党衆参議員20人の推薦を受けた自民党国会議員が立候補できる。

 第一図のように、選挙方法は2通りあり、通常は左側の党大会方式で、全国の党員・党友(109万人)の選挙による各候補への換算割り当て計394票と、衆参自民党国会議員394票で投票が行われる。有効票の過半数を得た候補が総裁となるが、もし過半数を得た候補がいない場合、上位2候補による決戦投票が行われるが、決戦投票は国会議員394人と、都道府県連代表47名の投票で実施する。

 第2の方法は、右側の両院議員総会方式で、任期途中の交代で緊急性がある場合に適用され、党員・党友の選挙を省略する方法。両院議員394票と47都道府県各3票の141票で投票する。通常は3年任期だが、任期途中の場合は当該任期終了まで。決選投票の場合の方法は第1の方法と同じ。

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 この2つの方法のどちらを取るかは9/1に決まるらしいが、今回はコロナ対策などで緊急性ありとされ、両院議員総会方式となるらしい。ただ、地方ではこれに不満があり、候補者による討論で政策を示し、党員の投票を行うべきだとする意見も多いとか。

 第2図は、ANN世論調査の結果だが、石破氏が圧倒的に支持率が高い。党員選挙でも同様な傾向が予想され、もし、党大会方式だと石破氏が最有力となり、両院議員総会方式は、あきらかに石破氏潰しだとされる。現に2012年の党大会方式の総裁選では、石破氏が第一回の投票では1位で安倍氏が2位であり、決戦投票では議員票の重みが圧倒的なので、辛うじて安倍氏が逆転できた経緯がある。

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 もし、今回が両院議員総会方式ならば、相も変わらず自民党内の派閥や人の相関関係が重要になる。第3図は、小さくて見にくいが、まず安倍首相は細田派(98人)、麻生副総理は麻生派(54人)、菅官房長官は無派閥、二階幹事長は二階派(47人)、岸田政調会長は岸田派(47人)、石破氏は石破派(19人)、河野氏は麻生派、小泉氏は無派閥である。

 人間関係は、石破氏は安倍氏・麻生氏に嫌われ、岸田氏は安倍氏の意中の人と言われる。菅氏は官邸と権力争いをしているが、二階氏と連携し、公明党とも太いパイプがあり、河野氏・小泉氏とは同じ神奈川県勢として親しい関係にある。まあ、ポスト安倍は混沌としているが、消去法で他より良さそうな菅「令和おじさん」が、小渕「平成おじさん」ジンクスにならって最有力との見方が多いようだ。主流派が既得権益を守るため、7年8か月安倍首相を支えてきた菅氏を推す構図。

2020年8月28日 (金)

イングリッド・バーグマン

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http://entertainment-kpb81.blogspot.com/2011/08/gas-lightingrid-bergmancharles-boyet.html

 NHKBSプレミアムシネマで、イングッド・バーグマン出演の映画を2本連続で見た。「ガス燈」と「追想」で、両方ともアカデミー主演女優賞を受賞している。イングリッド・バーグマン(1915-82)は、ご承知のようにスウェーデン出身で、24歳の時ハリウッドに初登場したが、英語は余り喋れなかったものの、その際立った美貌と知性から、「北欧からの瑞々しい息吹」として、一躍アメリカ映画界を代表する大スターとなったらしい。

 写真一枚目は「ガス燈」(1944年、米)で、ポーラ(写真右、バーグマン)は、育ての親である叔母の名歌手を何者かに殺され、傷心のなかロンドンからイタリア留学へ旅立つ。やがて、新天地で作曲家のグレゴリー(写真左、シャルル・ボワイエ)と恋に落ち、声楽家の道を諦めて結婚する。

 ロンドンの叔母の家で新婚生活を始めるが、夫から物忘れや盗癖が目立ち始めたと告げられ、ポーラは自分が狂ったのかと疑うようになる。夜中に屋根裏部屋で不審な音がしたり、ガス燈が暗くなったりのミステリアスな事件が続くがーーー。これらは、隠された叔母の宝石を狙った計画的な犯行だったが、この映画から、gaslightingが心理的な虐待を表す俗語になったという。

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https://www.cinematoday.jp/movie/T0018968

 写真二枚目は「追想」(1957年、米)。ロシア革命でニコライ2世一家は殺害されたが、アナスタシア皇女のみは逃れたとされ、10年後にロシア帝国のボーニン元将軍(写真右端、ユ-ル・ブリンナー)は、イングランド銀行に預けられた皇女たちへの遺産1000万ポンドに目をつける。

 ボーニンは、街で拾った記憶喪失の女性アンナ(写真中央、バーグマン)をアナスタシアに仕立て、彼女に各種のレッスンを施し、デンマークで甥のポール公と余生を過ごす皇太后(写真左端、ヘレン・ヘイズ)の孫娘との涙の再会を企画する。はなからいつもの金目当ての偽者と信じて疑わぬ皇太后だが、ふとしたアンナの妙な咳から、本物のアナスタシアだと気づく。

 金目当てにボーニンと組んだポール公とアナスタシア(アンナ)との婚約発表も決まったが、ボーニンとアンナが愛し合うという大誤算が生じ、婚約発表の場に肝心のアンナもボーニンも居なかった。全てを見通していた皇太后は、「芝居は終わった」と記者発表。

 アナスタシア(1901-1918)は、ニコライ2世の第四皇女。1918年17歳で銃殺され、2000年ロシア正教会より新致命者として列聖された。1991年両親と3人の大皇女とともに遺骨が発掘されて、アナスタシア生存説は消えた。数多くの偽のアナスタシアの中で、最も有名なアンナ・アンダーソンは、死後10年の1994年のDNA鑑定では、遺伝的関係は認められなかったという。

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https://online.stereosound.co.jp/_ct/17214279

 以下は余談だが、イングリッド・バーグマンは、ヒッチコック映画に一時続けて出ていた。「白い恐怖」(1945年)、「汚名」(1946年)、「山羊座のもとに」(1949年)である。写真三枚目は「汚名」で、久しぶりに自宅本棚のDVDで見た。31歳には見えぬ若さ。

 父親にドイツのスパイの嫌疑がかけられていたが、娘のアリシア(写真右、バーグマン)のところに、FBIの捜査官デブリン(写真左、ケイリー・グラント)が接近してきた。ナチの残党と思しき父の友人であったセバスチャン(クロード・レインズ)に接近して、内情を探って欲しいという依頼。

 舞台はリオデジャイロで、アリシアはセバスチャンの求婚に応じるが、デブリンとの連絡も引き続き行われる。やがて、彼女はセバスチャンの屋敷内の酒蔵で、組織の秘密を発見するが--。ヒッチコックのサスペンスは流石だが、ラブロマンスの色濃い作品でもある。当時、キスシーンは3秒以下とされたそうだが、ヒッチコックは場面を分割することで、2分以上の熱烈なグラントとバーグマンのキスシーンに成功。

 

 

2020年8月24日 (月)

世界の英語人口

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 英語の通信教育で教わったのは、日本人が英米人並みの英語を目指して勉強するのは良いが、ハリウッド映画の英語を100%分かったり、アメリカ人並に喋るのは所詮無理であり、だいたい世界英語人口の約15%しかネイティブはいない。実際のビジネスでは残りの85%の人々の英語スピーカーと意思疎通ができれば十分であると。ちょっと、安心したような、そんなものかと、がっかりしたような気もする。

 そこで、世界の英語スピーカーの実態をネットでちょっと勉強。丁度、「世界の英語人口15億 日本も急増中 英語を習得すべき8つの理由」 という記事を見つけたので、それから紹介。

https://english-club.jp/blog/english-world-population/

 第一図は、世界人口73億人のうち、15億人(21%)が英語人口で、通信教育と若干数字が違うが、うち3.8億人(25%)がネイティブであり、残りの11.2億人(75%)は第2言語/外国語として英語を使っているとしている。

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 ネイティブ3.8億人の内訳は、アメリカ(2.6億人)、イギリス(0.6)、カナダ(0.26)、オーストラリア(0.18)、その他(0.24)である。アメリカは総人口3.2億人だから、英語話者は約80%程度。一方、英語を第2言語/外国語とする11.2億人は、第2図に示すが、インド(1.3億人)、フィリッピン(0.9)、ナイジェリア(0.8)など。いずれも、旧英米の植民地であるが、インドでは全人口13.2億人の10%程度しか英語話者はいない。

 ところで、第2図に、EU諸国のドイツ・フランス・イタリアが顔を出しているが、その他に含まれる北欧諸国にも英語話者が圧倒的に多く、一般にネイティブ並みのレベルの人が多いことが知られている。

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 第3図は世界196か国中、英語を公用語/準公用語とする国が54か国(27.6%)にのぼることを示す。旧大英帝国の名残りだが、人口は21億人に達する。

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 第4図はインターネットでの使用言語で、日常会話での言語シェアに近いと思われる。英語は26%の1位だが、中国語19%とほぼ並ばれている。ただ、中国語を第2言語/外国語とする人は極めて少ないのが英語と違う点である。その他、学術・科学・先端技術・スポーツ・国際ビジネスなどの分野では、英語が圧勝である。

 なお、本題の趣旨とは関係ないが、スペイン語・アラビア語・ポルトガル語などが、インターネットの使用言語でやはり健闘しているのが目につく。

2020年8月22日 (土)

ワクチン入門

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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62820190Z10C20A8MM8000/

 新型コロナウイルスの第2波がやっと峠を越えたと思ったら、今度はワクチンが騒がしくなってきた。まだ、出来てもないのに、政府は英アストロゼネカ社と米ファイザー社とワクチン供給の基本合意をしたらしい。その他にも、米モデルナ社と交渉中で、日本のアンジェス社や塩野義製薬も候補とか(表1)。

 さらに、政府の分科会は、ワクチンの当初入手量が限られるとして、接種の優先順位を決めた。第一優先はコロナ患者に接する医療従事者、高齢者、持病がある人などで、医療崩壊を防ぐのが趣旨。妊婦はワクチンの胎児などへの影響が不明として今後の議論になる。なお、万一、ワクチン接種で被害が出た場合の賠償金は、国が持つよう法改正をするとか。

 第一表で気が付くのは、圧倒的に海外勢が先行していること。こんな大事な国の首根っ子を押さえるワクチンの開発で日本が後れを取っている。ワクチンは世界の5大メーカー(英グラクソ、米メルク、米ファイザー、仏サノフィ、スイスのノバルティス社)が世界シェアの約90%を押さえているのだ。日本は1980年代までは、ワクチン先進国と言われてきたが、副作用による訴訟が相次ぎ、厚生省もメーカーもすっかり消極的になったのが災いしたらしい。その後も海外で続々開発されたワクチンはほとんど国内で認可されず、「ワクチンギャップ」と言われるほど日本は遅れたと。だが、2007年以降、急速に認可が増え、幸いギャップは解消しつつある様子。

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https://www.asahi.com/articles/ASN4Y648MN4GULBJ001.html

 ところで、ワクチン、ワクチンと言うが、ワクチンは実際どうやって作るのか、ウサギさんは知らないことに今更ながら気が付いた。第2図に示すように、古典的な方法と、最新技術と2通りあるらしい。左側の一般的なワクチン製造方法では、有精鶏卵などにウイルスを入れ、時間をかけて増殖させたあと、弱毒化(生ワクチン)したり、増殖できなくする(不活化ワクチン)。出来たワクチンをヒトの体内に注射すると、体内の免疫がウイルスを認識し、抗体を作って本物のウイルスが侵入した際に撃退する仕組み。

 一方、新しい方法は、ウイルスの遺伝情報を短期間に合成し、これを体内に注射すると、遺伝情報が作るたんぱく質を免疫が認識する仕組み。以下抗体を作って、本物のウイルスの侵入を撃退するのは従来方法のワクチンと同じ。

 この新方式は、開発期間が短く生産性も高いので、新型コロナウイルスのワクチン開発のほとんどに使われているらしいが、実績に乏しいのが難点。通常、ワクチンの開発には5-10年かかるのを、1-2年に短縮するのでどうしても無理がでるかも。ロシアは多数の人に接種するテスト・フェーズを飛ばしてもう認可したらしいので、たいへん危険と言われている。

2020年8月20日 (木)

第二次世界大戦関係の映画

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https://eiga.com/movie/1700/

 終戦記念日前後にNHKBSプレミアムで、第二次世界大戦関係の映画を実に6作も見た。欧州戦線関係で「戦場のピアニスト」(2002)、「史上最大の作戦」(1962)、「パットン大戦車隊」(1970)の3作であり、日本関係で「あゝひめゆりの塔」(1968)、「この世界の片隅に」(2016)、「母と暮せば」(2015)の3作である。戦後、75年も経った訳で戦争を知る人もどんどん減っている。戦争映画が意外に将来貴重な記録財産になるかもしれない。とりあえず、ご存知の欧州戦線3作をちょっとお浚い。

 写真一枚目の「戦場のピアニスト」(仏・独・ポ・英、2002)は、実在したユダヤ系ポーランド人ピアニストのシュピルマン(エイドリアン・ブロディ)の伝記映画。1939年ナチスはポーランドへ侵攻し、1940年にはシュピルマン一家はワルシャワのユダヤ人ゲットーに押し込められ、やがて家畜用貨物車で死の収容所送りとなるが、シュピルマン一人は逃げ出しに成功する。

 ポーランド人に扮しての過酷な強制労働の中で反ナチ地下活動に協力するが、隠れ家は次々に追われ、1944年のワルシャワ蜂起も失敗に終わって、ついに飢餓で病気となる。ポーランド人狩りに逃げ惑うある日、廃墟の中でドイツ陸軍のホーゼンフェルト大尉(トーマス・クレッチマン)とばったり遭遇するが、なんと彼は射殺せずにピアノを弾くよう、シュピルマンに命令したのだ。以後、彼は屋根裏のシュピルマンに食料を届け続ける。

 1945年ソ連がワルシャワを開放し、大尉はソ連の捕虜となったが、シュピルマンは彼の名を知らず、助けることが出来なかった。後に1952年に大尉はソ連の収容所で死亡したことを知る。原作のノンフィクションは1946年にもうポーランドで刊行されたが、ドイツ兵に救われるくだりが問題となって、長く発行禁止だったらしい。1998年になって独訳版が初めて出版されたと。映画は、カンヌ映画祭でパルムドール、アカデミー賞では監督賞・脚色賞・主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)を受賞している。

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https://www.thecinema.jp/program/03127

 写真二枚目は「史上最大の作戦」(米、1962)で右側はジョン・ウェイン。1944年6月の連合国軍のフランス・ノルマンディ上陸作戦を忠実に描いたもの。原題は「The Longest Day」だが、独軍のロンメル将軍の「最初の1日が死命を制する、両軍にとっての長い1日になるであろう」から来ているそうだ。

 米英仏などの連合国軍、300万人は英国に集結し、このDデーを今か今かと待っていた。この上陸決行の暗号指示はなんと民間ラジオ放送が使われたと。ヴェルレーヌの詩の前半「秋の日のヴィオロンのためいきの」だけが何度も放送され、もし後半の「身にしみてひたぶるに物悲し」とくれば24時間以内に上陸が行われることになっていた。

 ドイツは、上陸地点は英国に一番近いカレーと読んでいた。また、当日は悪天候の予報で、ロンメルは休暇を取ってドイツに帰っていたという。これはドイツ軍の気象観測地点が、大西洋上になかったせいで、ロンメルは失敗を認めている。上陸作戦と言えば、上陸用舟艇などのシーンを想定するが、意外に落下傘やグライダーによる後方攪乱作戦や、フランス・レジスタンスによる鉄道や通信破壊活動が効果があったらしい。

 ともかく映画のキャストが凄すぎる。ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ポール・アンカ、メル・ファーラー、リチャード・バートン、ショーン・コネリー、クルト・ユルゲンスなど。制作費は現在価格で約500億円、「クレオパトラ」で倒産寸前であった20世紀フォックス社は、この作の世界的な大ヒットで息を吹き返したと言う。

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https://plaza.rakuten.co.jp/rikakutaro/diary/200611290001/

 写真三枚目は「パットン大戦車軍団」(米、1970)で、左がパットン将軍(ジョージ・C・スコット)。映画はパットンというアメリカ陸軍の特異な軍人を描く。自身のことをToo damn military(軍人らし過ぎる)と言ったほどの戦争好きで、とりわけ兵士に厳格であった。弱かったアフリカの米軍戦車軍団を、1943年に着任以来鍛え直し、ドイツ軍をアフリカ大陸から放逐した。

 イタリア戦線では、シチリア島でドイツ・イタリア軍を破ったが、素早い動きで連合国の英国を出し抜く大きな戦果を挙げてしまったので、反ってアイゼンハワー元帥司令部の不興を買う。また、野戦病院で精神を病んだ兵士を見て、臆病として殴打したので、これがアイクの知るところとなり左遷されるに至る。

 1944年のノルマンディ上陸作戦では、あたかも連合国軍がカレーから上陸するように見せる囮の軍団長として使われたが、これは先陣を切って実戦で戦うことを信条とするパットンには大いにこたえた。だが、上陸後は、かっての部下の下位ながら軍団長に指名され、水を得た魚のようにドイツへ快進撃して戦果をあげた。ドイツ降伏後の1945年12月、ハイデルベルグにて自動車事故で死亡。「軍人としての死にざまではないな」が最後の言葉。

 映画は何故かアカデミー賞を7部門で獲得。作品賞、監督賞、主演男優賞(ジョージ・C・スコット)、脚本賞、編集賞、美術賞、録音賞。

2020年8月17日 (月)

モーリシャス沖座礁

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https://www.sankei.com/world/news/200816/wor2008160015-n1.html

 モーリシャス沖で、7月25日、日本のバラ積み貨物船「わかしお」が座礁し(写真一枚目)、8月6日には1000トン以上の重油が流出して、世界有数の美しいサンゴ礁で有名なモ―リシャスの環境を破壊し、今後20年にわたり観光産業に大打撃を与える恐れがあると言う。

 このニュースを見て、船舶や海運に全くの素人のウサギさんはいくつかの素朴な疑問を持った。(疑問1)そもそもどうして暗礁に乗り上げたのか? 船長やクルーの国籍は? 座礁してから油の流出までの12日間は何をしていた? (疑問2)ブラジルへ行くのに何故アフリカへ? (疑問3)空き荷でタンカーでもない鉱石貨物船がなぜ4000トンもの油を積んでいる? (疑問4)賠償責任はどこ? 予想賠償額はどのくらい? (疑問5)関係ないフランスのマクロン大統領が、全力でモーリシャス支援の声明を早速出したが何故? (疑問6)当事者の日本の安倍首相が、未だにだんまりを決め込んでいるのは何故? などなど、要するに日本のマスコミの対応が遅いのでネットで調べたもの。だが、調べ方が悪いのか、正直良く分からない。 

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https://mainichi.jp/articles/20200813/k00/00m/030/146000c

(調べ1)傭船主の商船三井は、座礁の原因としてモーリシャス島(図2)の南方20哩を通行予定であったが、強風やうねりで北方へ押し戻された可能性があると発表した。一方、米誌フォーブスは、衛星データから速度を落とさずに島へ直進しているので、乗組員が島への接近を認識していなかったのでは?としている。また、警察による乗組員への調査では、当日誕生日パーティーが催され、かつ島へ接近してwifiに接続する意図があったとしている。船長はインド人で、クルーはインド人、スリランカ人、フィリッピン人合わせて20人で日本人はいない。また、何故、12日間も無対策であったのかは今後の捜査を待つと。

(調べ2)我々の常識からいえば、ブラジル移民などは太平洋を越え、パナマ運河経由で「さんとす丸」などの船で行く東回りと思いがちだが、経度で言えばブラジルは丁度日本の正反対にあって、確かに西回りもありうる。かってのパラグアイ移民は、日本の商船だと東回り、オランダ貨物船だと西回りであったと言う。現在のブラジル航路の定期貨物船は、どちら周りがメインなのかネットでは分からず。

(調べ3)重い船のエンジンは、重油を焚くディーゼル機関であり、一日数十トンの燃料が必要。特に、コンテナ船などの貨物船は、タンカーと違って速度が勝負であり、とりわけ燃料を食うらしい。

(調べ4)新型コロナウイルス事件で有名になったクルーズ船で知ったが、船の契約関係は実に複雑である。「わかしお」の船籍はパナマ、船主は岡山県の長鋪(ながしき)汽船の子会社、傭船主は商船三井、運用主は通常は第三者だが、今回は船主の長鋪汽船らしい。今回のような燃料油流出の賠償責任は、国際条約上、船主の長鋪汽船にある。勿論、船主は日本船主相互保険に加入しているし、船主相互保険は更に世界の保険組合に再保険している。賠償額は不明だが、1997年のロシアの日本海タンカー座礁事件では、6200トンの重油が流出し、261億円が支払われた。なお、保険金は10億ドルまでは支払われるという。

(調べ5)モーリシャスは、イギリス旧植民地であり、1968年英連邦王国として独立。人口130万人の70%はインド人である。フランスはかって1715年から約100年間領有していたことがあり、現在でもフランス語は、英語と並ぶ公用語扱いらしい。

(調べ6)安倍首相は疲れているせい? 失点を認めたくない性格のせい? 保険裁判への影響考慮は別として、ともかく環境保護推進協力への何らかのメッセージ発信が必要であろう。

 

2020年8月10日 (月)

ナベツネさん

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https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020106406SA000/

 昨日のNHKスペシャルで、ナベツネさんこと渡辺恒雄(写真一枚目)の「戦争と政治~戦後日本政治の自画像~」を見た。ナベツネさんは歩行器を使っているようだが、94歳にしては記憶力と言い、たいへんにお元気である。マスコミのロングインタビューは意外に初とか。戦後の日本表裏政治史を知る歴史的価値がある人物と言う事か。

 歴代首相の戦争体験が戦後日本に与えた影響が大きいとーー戦後75年で戦争記憶が急速に薄れていく今、戦後の日本が戦争とどのような距離感で作られていったか、ナベツネさんの証言で繙いて行くのがNHKの狙い。元来、高尚なテーマの筈だが、話はどろどろした政界の裏話の方がむしろ面白い。なかでも、戦前、東条内閣の閣僚であった安倍首相の祖父、岸信介首相への戦犯を憎む渡辺の風当たりが厳しい。

 ナベツネさんが記者として出世したそもそもは、大野伴睦の番記者になって可愛がられてから。岸首相の後継首相として、当時の自民党4人の首脳による密約があり、指名トップは大野伴睦だったが、蓋を開けたら池田勇人であった。フィクサー児玉誉士夫が持っていた密約書を、ナベツネさん自身が撮影した写真まで今回披露した。

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http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-efd9ec.html

 この首相後継の別の裏話が、これもナベツネさんから聞いた話として、写真二枚目のロバート・ホワイティング著「ふたつのオリンピック 東京1964/2020」に載っている。ナベツネさんが、岸信介の弟の佐藤栄作首相が大嫌いで、攻撃記事を年中書いたので、たまりかねた佐藤栄作の妻が金を持って家に挨拶に来たが、渡辺の妻は受け取らなかったらしい。

 ところが、読売のある事業で政府の認可が必要となったが、渡辺をワシントン勤務に飛ばすことで、読売は政権と折り合ったと言う。その際の英会話教師として、ホワイテイングはナベツネさんと親しくなったのだ。渡辺から聞いた話では、池田勇人首相が喉頭がんで喋れなくなったさい、次期首相を指名した紙には、河野一郎と書いてあったが、この紙は消え失せ、大金がばらまかれて佐藤栄作と書いた紙が現れたと。

 余談だが、その後、プロ野球記者のホワイテイングは読売社長になったナベツネさんから、東京ドームへの出入り禁止になった。東京ドームの満員の入場者数は、巨人は5万6千人と常に発表するが、実は4万7千人だとすっぱぬいたのである。渡辺が怒った理由は、ウソを暴いたことではなく、ライバル朝日に情報を流したことだと言う。(参考)2019.9.6の本ブログ「東京の裏面史」 http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-efd9ec.html

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http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-3a8d.htm

 NHKスペシャルで、ちらと九州在の西山太吉元毎日新聞記者(写真三枚目)が登場した。日韓国交正常化で、渡辺がアレンジして大野伴睦を韓国へ交渉に行かせたとされ、インタビュアーのNHK大越健介が、記者としてちとやり過ぎではないかと詰問すると、国交正常化の前だから何でも許されると妙な屁理屈で渡辺は答えた。

 政治記者として、渡辺と当時凌ぎを削っていたのが、毎日新聞の西山記者であり、ナベツネさんの日韓正常化交渉での暗躍を今回NHKの取材で認めている。この西山と言う人は、毎日出身の山崎豊子の小説「運命の人」のモデルでも有名である。沖縄返還交渉の密約情報を外務省の女性事務官から入手し、政治家へ流したとされる「西山事件」の当事者である。国家機密か国民の知る権利かで裁判は争われたが、小説では渡辺は報道の自由から西山側の証人となっている。

 ところが、2012年にテレビ化された「運命の人」を見た渡辺は烈火のごとく怒った。田中角栄首相に渡辺のモデルが這い蹲って請願するシーンがあったのだ。だいたい渡辺は田中角栄とはさしで飲んだことさえないと。皮肉なことに、この事件で「運命の人」は一気に有名となったらしい。(参考)2018.10.5の本ブログ「運命の人」 http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-3a8d.html

 意外なのは、憲法改正を推進するなど右より保守総本山読売の主筆であるナベツネさんが、靖国神社参拝には反対なこと。その点では安倍首相は小泉元首相と並んで落第である。

2020年8月 3日 (月)

クリント・イーストウッド

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https://movies.yahoo.co.jp/movie/20869/

 ちょっと笑えるおこがましい話から。15年ほどまえ英会話のN校の雑談会で、アメリカ人先生から、「ねえクリント、これをどう考える?」と突然質問された。その時は何のことか分からなかったが、暇な外国人先生たちが日本人生徒に勝手に綽名をつけていることを後で知った。なんとウサギさんはクリント・イーストウッドだったらしい。多分、似ていると言うより、知っている年寄り俳優から適当に選んだのであろう。

 ところで、先日、NHKBSプレミアムシネマで、クリント・イーストウッド監督・主演の西部劇「ペイルライダー」(1985年、米)を見た。1880年代のカルフォルニアのある渓谷で、金の採掘の権利を巡って小競り合いが続いていた。町を起こした名士ラフッド一派が、ハルをリーダーとする善良な村人たちに嫌がらせを行って来たのだ。

 あるとき、町へ行ったハルは、ラフッド一派に暴行を受けるが、たまたま居合わせた流浪の牧師(クリント・イーストウッド、写真一枚目)に救われる。ハルは牧師を村へ招き、村人たちは強い牧師を得て、次第に団結して戦う意思を固めて行く。その後、様々な両陣営の間の軋轢があり、ラフッドはついに悪徳保安官を買収して、牧師を多数で殺害する策略を実行する。一人で保安官以下7人と戦う牧師は、実は保安官がとっくに殺したと思っていた元ガンマンであった。全員を射殺した牧師は黙って町を去る。

 「シェーン」と似たようなストーリーだが、クリント・イーストウッドの代表作ではない。なお、題名の「ペイルライダー」の意味は、ヨハネの黙示録の四騎士のうち死を司る第四の騎士とか。 

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%82%A6%

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 1930年生まれのクリント・イーストウッド(写真二枚目、1960年頃)は、身長190cm以上もあるイケメンだが、若いころは不遇だったらしい。しかし、1958年のテレビ「ローハイド」で大ブレークし、その後、1960年代のマカロニ・ウェスタン映画「荒野の用心棒」(1964年)や「夕陽のガンマン」(1965年)などで俳優としての不動の地位を得た。さらに「ダーティハリー」シリーズ(1971年ー)と続くが、1985年の本「ペイルライダー」では監督も兼任し、遂に1992年の「許されざる者」ではアカデミー監督賞を初受賞している。

 監督兼任では、「マディソン郡の橋」(1995年)、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年、アカデミー監督賞受賞)、「グラン・トリノ」(2008年)と話題作が続く。また、監督専任作では、「ミスティック・リバー」(2003年)、「父親たちの星条旗」(2005年)、「硫黄島からの手紙」(2005年」、「ハドソン川の奇跡」(2016年)など。どれもがたいへんな秀作とされているのに驚かされる。

 

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