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2020年6月29日 (月)

NかMか

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https://ameblo.jp/bookcafe-cosmos/entry-11592682600.html

 藪から棒だが、アガサ・クリスティの長編ミステリーに「NかMか」(1941年、写真一枚目)というのがある。お馴染みの探偵ポワロやミス・マープルではなく、トミーとタペンス夫妻が主人公の3作目。ちょっと変わった題名は、聖公会祈祷書にある「汝のクリスチャンネームは何か。NかMで答えよ」から採られたという。

 ところで、今日のブログ「NかMか」は、このクリスティの作品とは全く無関係で、日経電子版が2011年の「東京不思議探検隊」記事を動画版でアップしたタイトルから採っている。

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https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK16018_16112011000000/

 写真2枚目のように、「日本橋」の「ん」のローマ字表示に「N」と「M」の二通りあり、どちらが正しいの?というのが記者の問題意識。調べるとJR・メトロ・都営地下鉄・バスなどの駅名は全て「M」であり、三越も高島屋も「M」である。一方、道路標識・みずほ銀行・三井住友銀行などは「N」である。

 ことの起こりは、ヘボンが1886年に決めた「旧ヘボン式」にまで遡る。元来、ローマ字表記は、外国人に読みやすくするために考案されたもの。「ん」は[N」としたが、特に「N」が「B」「M」[P」の前に来ると発音しにくいため、その場合に限り例外的に「M]とした。たしかにNIHONBASHIより、NIHOMBASHIの方が発音しやすいのであろう。ところが、ややこしいことに、1954年に旧ヘボン式は改定され「修正ヘボン式」となり、「ん」は例外なく「N]を使うようになったので混在しているのだ。

 ここで、ローマ字の歴史をちょっとお浚いするが、科学と違って言語の世界は、まさにGOCHAGOCHAですっきりしない。ご承知のように、ヘボン式では、「し」は「SHI」、「ち」は「CHI」、「つ」は「TSU」、「ふ」は「FU」など、外国人が発音しやすいようになっているが、これを小学校で教えるには理由が付かない。そこで、1937年に政府は国粋的な?「訓令式」を定めた。「し」は「SI」、「ち」は[TI」、「つ」は「TU」、「ふ」は「HU」、「ん」は[N」であり、これが現在小学校でも教えられている日本の公式なローマ字である。

 ところが、1954年、GHQなどヘボン派の巻き返しがあり、「訓令式」と「旧・修正ヘボン式」が、ケースバイケースに使用可となった。主として、パスポートや駅名などは「旧ヘボン式」、道路標識などは「修正ヘボン式」を使うが、その後、学校で習った標準の「訓令式」はあまり使われないと言う妙な事態になっているのが現状。

 さらに、話を複雑にしているのが、PCやスマフォのローマ字キーボード入力。「じゅうよう」は、ヘボン式や訓練式では上に長音記号を付けるが、コンピュータ入力では[JUUYOU」となり、「ん」は「NN」となるので、このままローマ字記述する人が増えているらしい。

 元の情報がしっかりさえしていれば、ローマ字表示などあまり問題とならないのではとの説もあるが、例えば外国でパスポート情報のコンピュータ検索が必要になったとき、旧ヘボン式で名前を入力したのを忘れていると、そのような人は居ませんともなりかねない。因みに、パスポート上で「群馬」県は、「GUMMA」でエーっと戸惑う人も多いそうだ。

 なお、2009年に東大では、「修正ヘボン式」をベースとしたローマ字推奨方式の使用を学内に通知しているらしい。

 

 

 

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