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2019年7月 4日 (木)

とてつもない失敗の世界史

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https://tsuiran.jp/word/3299484/weekly

 大雨が続いて、おまけにスポーツクラブが今週は休みときて、家に閉じこもらざるを得ないので、普段は買わないような種類の本を暇対策に買ってみた。「とてつもない失敗の世界史」(トム・フィリップス著、写真一枚目)で、著者はイギリスのユーモア作家とか。ヒトの脳は複雑な事象を解明できるのに、極端に変な判断ミスをしたり、ナンセンスな計画を思いつく。交響曲や相対性理論などを想像できるのに、スナック菓子を買うのに5分も悩む。

 世界史にはおかしなことがいくらでもある。例えば、アメリカの赤狩りなどの集団ヒステリー、アラル海の干上がり、クリーヴランドの汚染で炎上するカヤボガ川、オーストラリアの野ウサギ大発生など、いずれも人による失敗・失政が原因である。現在でも、太平洋には巨大なごみベルトがあり、魚はプラごみに悩む。

 統治者にはおかしな人が多いが、中でもオスマン帝国の17世紀前半の皇帝たちは酷かったらしい。面白いのは、ヒトラーは偉大な能力のある独裁者と見られがちだが、実際は無能な怠け者で自己中心的であり、常に酔った道化師のようであった。ただ、大衆受けのする熱弁をふるうことに長けていたと。その他、戦争での失敗、植民地支配での失敗など沢山の例があり、どれも面白いが、以下、特に科学・技術関係での失敗例をいくつか紹介する。

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https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/5261/

 写真2枚目は、1998年に打ち上げられたアメリカの火星探査機マーズ・クライメイト・オービターである。宇宙管制センターが軌道を微調整したとき、意図せぬ事態が起こった。つまり、探査機は火星表面に激突したのだ。原因は、探査機のプログラムはメートル法ベースで作られ、地上のコンピュータソフトはなんとヤード・ポンド法ベースであった! 

 この単位の勘違いミスは、かのコロンブスも犯したという。コロンブスは地球は実際よりずっと小さいと思っていたらしい。9世紀の天文学者ファルガーニーのいう距離を参考にし、単位は古代ローマのマイル(1.48km)と思ったが、実はアラビア式マイルで2km前後だった。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/トロフィム・ルイセンコ

 大勢の国民を飢えに苦しませたとして悪名高い人にソ連のルイセンコ(1898-1976、写真3枚目)がいる。ウクライナの生物学者・農学者だが、ダーウィンの進化論や遺伝説を否定し、取得した形質が遺伝するとした。これがスターリンに、努力すれば報われるとする共産主義の思想と一致すると称賛され、いわば現在では否定されている似非科学が、ソ連や中国・北朝鮮などでは大手を振って農業政策に使われた結果は不作続きで、ソ連は食料の輸入に頼ったがこの事実は国民に伏せられていたらしい。

 似たトップのミスに毛沢東の四害駆除運動がある。1950年代、中国では伝染病が蔓延し、蚊・ネズミ・ハエの撲滅運動に乗り出した。ここで止めておけば良かったが、スズメが穀物を食べるとして、ついでにスズメまで駆除した。結果はイナゴが大発生し、ルイセンコ学説と相まって、深刻な飢饉を招き、1500-3000万人が餓死したのだ。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/トマス・ミジリー

 写真4枚目は、アメリカの発明家のトマス・ミジリー(1889-1944)である。この人は二つの大発明をしたが、二つともとんでもない環境破壊を起こしたので悪名高い。一つは、自動車エンジンのノッキング対策として、有鉛ガソリンを発明した。エタノールでも良かったのに、有害な鉛の方を選んだのは儲かるからである。二つ目は、フロンガスを冷蔵庫用に開発したが、その後フロンはスプレーなどにも広く使われて、図らずも?オゾン層破壊を起こした

 有鉛ガソリンとフロンはともに1996年禁止されている。なお、ミジリーは小児麻痺に罹り、ベッドから起きる際に使う綱とプーリーを使った便利な装置を発明したが、55歳の時にこの仕掛けに絡まり窒息して亡くなったそうだ

 

 

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