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2019年7月12日 (金)

米中関係の日本への影響

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http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/overview/message/

 学士会夕食会で、高原明生東大教授(写真)の「米中関係の行方と日本に及ぼす影響」という講演を聴いた。本人も認められていたが、米中関係の行方の影響分析はほとんどなく、大半は単なる日中関係についてのお浚いであった。

 中国にとってアメリカは最重要の国であり、アメリカをハンドリングできないような中国トップは失格である。中国人は米国は大好きであり、同時に大嫌いでもあり、米国との摩擦の心理的な打撃も大きい。2017年トランプ政権発足のころは、中国と北朝鮮間が緊張関係にあったこともあり、むしろ米中関係は良好であったが、その後、知的財産権、貿易などで米中間の摩擦が大きくなり、相次ぐ米国の経済制裁が発生した。

 だが、2018年までは中国は「対米21文字方針」という低姿勢策をとっていたが、2019年5月になって、政権内の批判から態度を急変し対米強硬姿勢を示すようになった。2019年6月の大阪G20でのトランプー習会談で、米中交渉再開となったものの先行きは見通せない。また、米朝関係は米中関係の矛盾に北朝鮮が付けいる構図であり、北朝鮮は在韓米軍を認めるとしているので、中朝関係は微妙なバランスの上に成り立っていることになる。

 日中関係は2010年の尖閣諸島漁船衝突事件以来冷え切っていたが、中国は2014年歩み寄りを見せた。これは米中関係の行き詰まりと、日系企業の投資抑制への危機感から。2015年南シナ海を巡って日中間で論争があったものの、2017年中国の「一帯一路」に日本が協力を表明し、2018年10月の安倍訪中では大歓迎を受けて韓国を悔しがらせ、2019年の習近平訪日までもが計画されている。

 特に中国の2018年の経済成長率は6.6%と公式発表されているが、これを信じる中国人はほとんどいないらしい。実際はかなり悪く0%成長との噂である。金融恐慌、資本流出、大衆の不満を警戒せよとの声も多いとか。ただ、中国人の対日イメージは改善されつつある。良いイメージは2017年の31.5%から、2018年は42,2%と上がった。他方、日本人の対中良いイメージは、2017年11.5%、2018年13.1%と余り改善していない。やはり、中国の尖閣領海侵犯、国際ルール違反、歴史問題などが尾を引いている。

 米中対立は長期的な競争であり、短期的には「我慢比べ」である。一方、日中関係の持続的な発展には、矛盾を生きる強さを持ち、関係の強靭性(経済関係、安全保障、文化交流)を一層強化し、脆弱性(尖閣諸島、歴史問題)を抑制管理すべき。抑止力を強化し、それと同時に防衛交流を促進し、一帯一路と自由で開かれたインド太平洋の共生、中国の自制を促す知識交流や、認識ギャップ、情報ギャップの縮小などが必要である

 全般に優等生的国家公務員のレポートといった感じだが、最後に出席者からの質問がいくつかあり、中でも中国人女性から「結局、中国の今後はどうなると見ているのか」という厳しい指摘があった。講師曰く、現在の共産党支配が永久に続くと考える中国人はいない。経済が拡大すれば、それだけ共産党の口出しする余地が狭まるから。ただ、党関係者の既得権益はべらぼうに大きいので抵抗は強く、新体制にソフトには着地せず、何らかの暴力的な解決をみるであろうと。 

 

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