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2019年6月12日 (水)

AIと人間

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 学士会の夕食会で、長尾真京大元総長(写真)の「AIと人間の共存・共栄を考える」という講演を聴いた。内容は年寄り向けの「AIとは?」といった基礎入門編で、著しい進歩を見せる最新のAI技術や応用例などの紹介を期待した向きには、やや空振りだったかも知れない。20年以上前のパターン認識や機械翻訳の研究者で、昨年文化勲章を受けたいわば功成り名を遂げた82歳の老学者に期待する方がおかしいか。

 AIは1956年にコンピュータを計算だけでなく、定理の証明、文字・図形・音声などの認識、言語の翻訳など、人間の知的な能力を実現するものとして、米国中心に研究が始まった。1980年代には、チェスでチャンピオンに勝つなどの進歩があったものの、長い間、実社会に役立つまでには至らず。2000年代に入って、学習プログラムにおける深層学習法など抜本的な進歩と、巨大なデータの利用が可能となり、AIは遂に実用の時代に入った。

 AIの本質はビックデータの活用にある。コンピュータの巨大なメモリ機能と、インターネットの普及やIOTにより、個人の種々のデータを大量に集められるようになった。言語データ、交通事故裁判判例、個人の金融情報、病状データと適切な薬、個人の好きなレシピ・TV番組などなんでも。

 AIは外界現象を認識・記憶・推論し有用な判断をして行動する。凄いのは、これらの作業を通じてだんだん賢くなる学習能力があること。例えば、囲碁の「アルファ碁」では、自分自身と年中対戦して、際限なく強くなってしまうので、人間はもうお手上げになる。従って、AIを賢くするカギは、出来るだけ多くの関連データを与えること。言語はAIの中で最も重要で、例えば、介護ロボットは人の心を和ませる応答が必要だし、自動運転では乗客と自動車の対話がキーである。

 AIは論理・知識の領域では人間をもう凌駕している。また、明確な目的を与えれば、学習によって人間以上の目的を達成する可能性がある。目的を明示できないときは、例示によって概略的に目的の範囲を示せば良い。ただ、感性・感情など「心」がからむとAIはこれからである。「心」とは何かをまず明確にする必要がある。

 AIは定型的な人の仕事を奪うであろう。ロボットが事故を起こしたとき責任主体になりうるか? 対策として各ロボットに金を持たせるのが良い。現代は神に代わって、ロボットやネットワークが人間の行動を見守っていて、グーグルなどのGAFAに全てを握られているのだ。VR(仮想現実)の世界が、子供など人の心をとらえ、現実社会から遊離させる麻薬となっているーー今後の情報社会の在り方を真剣に考えるべき。人間中心のAI社会を作るため、人に危険な嫌がる過酷な仕事をAIにやらせる。ロボット兵士など戦争へのAI応用禁止や、社会的な差別の助長となるAIの禁止など、国際的に義務化する必要性がある。

 最後に、質問に答えて、AIのコスト面での問題は、ビックデータを集めるのに金がかかることで、オープンなデータにするとか共有化・共同化が必要。また、AIは電力を食う問題は、今後量子コンピュータの普及などが期待され何とかなるのではと。

 

 

 

 

 

 

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