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2019年6月19日 (水)

「平成経済 衰退の本質」

Photo_1

https://www.townnews.co.jp/0304/2011/06/16/108008.html

 久しぶりに歯に衣着せぬ痛快な本を一気に読んだ。金子勝立教大教授(写真)の「平成経済 衰退の本質」である。朝日の読書欄で紹介され面白そうと思って買ったもの。著者は元東大駒場自治会委員長のマルクス経済学者で、テレビの解説などでお馴染みであろう。ただ、マルクス経済学は、かっての主流経済学とは異なる全体的な体制概念を提供するという魅力はもはやないとしている。

 本書を読む前、ウサギさんは米中などと比較しての日本経済衰退の根本的な原因は、一つ目は戦後の長い努力の結果ある程度の経済的な成功を達成して、日本国民全員が一息ついたつまり暫し休んだのと、二つ目は他国より急速に高齢化・少子化が進んだが、それに対処すべき外国からの移民活力の応用に躊躇したことにありと思っていた。ところが本書で言う「衰退の本質」はもう少し具体的な行動や政策レベルにあり、なによりも驚くのは、具体的な組織名・人名などをあげての責任追及で、一般教養書の岩波新書らしからぬ?迫力がある。

 出だしが「日本はもはや先進国とは言えない」。政府は平然と公文書や政府統計を改竄し、大企業も会計粉飾や品質データを改竄する。監督官庁や経営者は、バブル崩壊後の不良債権の抜本的な処理や、福島原発事故の後処置を怠ったが誰も責任はとらず、ずるずるゾンビ企業群を救済してきた。当初2年の筈のアベノミクス異次元金融緩和は、デフレ脱却に失敗して6年以上も続き、日銀による国債・株式の大量購入は「出口のないネズミ講」と化してしまった。

 安倍政権は、外交も内政も政策目標をほとんど達成しておらず、しかも首相はまともにこれに答えられずに、次々にスローガンを変えるだけで、「やっている感」の演出に終始する。これは国民の中に無力感とニヒリズムを浸透させるという「黙従型のポピュリズム」を作り出しているという。原発の海外セールスでは、安倍が推進した8か国すべてで輸出に失敗し、東芝をウェスティングハウス破綻で経営危機にまで追い込んだのだ。また、オリンピックや万博などのイベント誘致は、古い企業を延命させるだけで、産業の新陳代謝にむしろ有害である。

 本書を読むと読者は暗澹とした気持ちになり、日本はもう沈没を待つ以外にはないと思うが、最後の章に対策らしき提案がある。抽象的な施策案が多いなかで、やけに具体的なものもある。例えば、内閣人事局の人事権は、現在官僚600人に及ぶが、次官までにせよ。電力会社を発電と配送電会社に分割して、全原発を廃炉にし再生可能エネルギーに特化せよ。国立大学研究費の年1%削減を即時中止せよなど。

 

 

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