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2019年6月22日 (土)

ブラックホール撮影成功

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https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10584_blackhole

 学士会の午餐会で、本間希樹国立天文台水沢観測所長の「ブラックホール撮影成功~謎はどこまで解明されるか」という講演を聴いた。年寄り向けのユーモア溢れる分りやすい一般入門解説だが、詳細データの印刷物の土産などを期待した天文ファンにはやや物足りなかったか。ともかく、巨大ブラックホールを映像化した(写真一枚目)のは世界初の快挙。周りが明るいのは、高速回転するガスのせい。

 ブラックホール(以下BH)は、太陽の30倍以上の質量のある星のいわば死骸である。高密度に縮小し(地球なら直径2cm)強い重力のため光さえ脱出できない。BHは各銀河内に無数に存在するが、原因は不明だが各銀河の中心にはBHの親分の巨大BHが1個存在する。BH周囲のガスの運動や、BHの合体とみられる重力波の観測などから、BHの存在自体は従来から分かっていたが可視化されていなかった。

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https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10584_blackhole

 今回世界13か国、200人以上が協力した国際プロジェクトEHT(米国主導)で、BHシャドウの撮影を行った。日本人は国内14名、海外8名が参加。6か所8台の電波望遠鏡(写真2枚目)を動員して同時観測を行い、月の表面のゴルフボールが見える、人間の視力なら300万という解像度を達成したと言う。

 2年前に5500万光年先のM87銀河中心部の巨大BHを観測し、その後2年かけてデータ解析をし画像化してきた。画像化に時間がかかったのは、8台の望遠鏡の時間差を調整し、空気によるゆらぎの修正などをするが、方程式の本数が解の数より少ない、いわば解けないものを解く(スパースモデリング)から。水沢は観測には参加しなかったが、スパコン計算で大いに貢献した。画像は、アメリカ方式、日本方式、従来方式と3枚似て非なるものが得られたが、調整に手間取り発表できないので、3枚の平均値で今回写真公表した。まさに、国際協力での政治決着である。

 M87の巨大BHでは、光が脱出できない面(事象の地表面)までの半径(シュワルツシルト半径)は400億km(太陽~冥王星距離の9倍)もあり、BHの質量はなんと太陽の65億倍もあることが分かったそうだ。なお、シュワルツシルト半径r、BHの質量Mの間には、r=2GM/C^2の関係がある。Cは光速、Gは万有引力定数で、仮に質量mの物体が光速で飛ぶと運動エネルギーはmc^2/2であり、これを引力GmM/rと等しいと置けば容易にrが得られる。なお、ガスの温度は60億度以上で太陽でさえ6000万度だから信じられないほどの超高温。ホールは円形でアインシュタインの説が正しいことが実証された。今後は、BHから噴出するジェット流や、降着円盤関係の謎解明などが宿題。

 

 

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