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2019年4月

2019年4月28日 (日)

東芝エネルギー関連での明暗報道2件

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https://diamond.jp/articles/-/175482

 東芝のエネルギー事業部門関連の報道は、ウェスティングハウス原発ロス事件以来鳴りをひそめていたが、4月に入ってから俄かにまた賑やかになった。2件のうち暗い方のニュースは、1兆円の損失が見込まれた米国のLNG事業を、中国のガス会社ENNに昨秋やっと売却の契約したのに、今月になって先方から契約破棄されて、元の木阿弥に戻ったと言うもの。良い方のニュースは、石炭火力発電で生じる炭酸ガスを海底に埋めるという大規模な実験を東芝が開始すると言うニュース。

 LNG事業(第一図)は、アメリカで安い豊富なシェールガスからLNGを作り、日本に輸入して東芝の火力発電機の顧客に同時販売するという名目だったが、実はウェスティングハウスの原発をアメリカで売り込むバーター条件だったらしい。ともかく、2013年の契約当時は、原油の価格が高かったので、シェールガスに価格競争力があったが、その後の原油暴落でシェールガスから造るLNGは、通常のLNGより70%高くなり、全く買い手が付かなくなったのだ。電力会社なら自社内でもLNGを使えるが、東芝は全額が損失となり、20年間で何と1兆円のロスが見込まれると。

 燃料ビジネスに全く素人の東芝も、身の程知らず馬鹿な契約をしたものだが、推進した当時の佐々木社長は原子力部門出身でウェスティングハウス買収の主導者でもあり、「暴走機関車」と呼ばれた社長を止められる人が東芝社内にはいなかったらしい。その後、放置したウェスティングハウスのずさんな経営で、東芝本体も倒産しそうになり、東芝は慌ててこのLNG事業をも手放そうとした。昨秋に中国のガス会社に、東芝が約1000億円払うことで引き取って貰うことになり、東芝もやっと中期計画を発表できたのである。

 ところが、アメリカ政府の正月の一時閉鎖で契約の認可が遅れたのと、米中関税戦争のあおりで、中国政府の認可も遅れ、いやけがさした中国ガス会社が4月に契約を破棄してしまったのだ。今後、東芝は次の引き受け手を探すらしいが、当面は少なくとも年間500億円の赤字は覚悟する要があり、更に次の契約での支払額は、足元を見られて1000億円を大きく上回るに違いないと。

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https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/ce869699633b206b47111daa42282e67

 一方、明るい前向きのニュースは、東芝は大牟田の石炭火力発電所で、排ガスの二酸化ガスをアミン溶液を通して液化し、船で沖合に運んで海底の地中の層に埋め込むと言う大規模な実験を2020年夏から開始すると。一日500トンと排出量の半分であり、環境問題へ大いに貢献すると言う。これは、CCS(carbon dioxide capture and storage)と呼ばれる方式(第2図)で、アメリカなどでは陸地の土中にCO2を貯留するが、日本は国土が狭いので国策として海底を使うとか。パイプラインで繋げる方式もあるが、船を使うのは場所がフレキシブルにできるので投資効率が良く、世界でも初の試みらしい。

 なお、ご承知のように本質的には石炭はCO2の排出量がLNGの2倍もあり、石炭火力発電は望ましくない。ところが、原発なきあと、LNGと比べて圧倒的に廉価な石炭火力発電は、世界的に中国・インド・日本や後進国中心に増えているのが実情である。石炭排出ガスのうちCO2以外の汚染物質は、最新鋭の磯子火力発電の例ではほとんどもう出ていないそうだ。そこで、今回の東芝のCO2実験に官民挙げての期待がかかるのである。

2019年4月27日 (土)

和泉川

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http://theyokohamastandard.jp/article-1830/

 今日の100kmウォークの会は、「和泉川で春を探そう!!」である。和泉川(写真)というのは、横浜市の瀬谷区と泉区を南北に縦断し、境川と合流する2級河川。境川は名の通り東京都と神奈川県の境界を南東に流れ、南下してからは横浜市の西の境界を流れ、戸塚から来る大きな柏尾川を合流して、江ノ島あたりで相模湾に注ぐ。

 実は、今日の天気は雨で寒いとの数日前の予報で、年寄りはわざわざ悪天候で出歩くこともないとサボることにしていた。ところが、予報は良く変わるもので午前中は晴れますよと出た。考えてみれば、平成最後の会だし、10連休のまだ初日でもあるし、和泉川は初めての場所だし、ともかく参加することに変心した。ところが、予報は見事に外れて歩き出したらすぐ小雨になったのだ。

 過去のブログをチェックすると、平成24年から参加して今日で49回目である。月1回8km歩いて年12回で100km歩くのが会の主旨だが、ウサギさんは、年平均7回、総計で400km歩いた勘定になる。神奈川県全域をカバーし、同じような場所でも、コースを若干変えて毎回変化をつける工夫がしてある。健保連神奈川連合会とNPO法人神奈川県歩け歩け協会の共催だが、歩け歩け協会の予定表を見ると、腰が抜けそうになるほど驚かされる。それこそ毎日のように神奈川県のどこかで、歩く会が催されているのだ。

 さて、前置きが異常に長くなったが、勘の良い人は既にお気づきのように、今日の会はあまり書く内容がないのである。相鉄の三ツ境駅から歩いて6分の二ツ橋公園(瀬谷区役所前)に集合し、和泉川畔の整備された散策道を南下する。和泉川を一端離れて山中に入り、東海道新幹線の下をくぐると、大げさに言えば原野のなかに松陽高校とばったり出くわす感じ。いずみ台公園を経て、再度、和泉川河畔の咲き終わった桜並木の下を歩くと、泉区総合庁舎前広場がゴール。帰りは、相鉄いずみ野線いずみ中央駅から。

 

 

2019年4月26日 (金)

ビッグリップ

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https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11161335621

 日経のビジュアル教養入門に、珍しく「宇宙論の最前線、村山斉東大特別教授に聞く」というコラムを見つけた。藪から棒だが、図の横軸は時間を、縦軸は宇宙のサイズを示す。左下端はご承知のビッグバンで、宇宙は何もないところから始まり、その後膨張を続け、青の縦線は現在位置である。従来、今後の宇宙は図の紫線のように、銀河や星々の重力の影響を受けて穏やかな成長を続けるか、赤線のように最後は収縮して、元のビッグバンの火の玉に戻るかの二つと思われてきた。

 ところが、1998年に宇宙が黄線のように、加速度的に膨張していることが発見され大問題となる。つまり、重力に抗して膨張するには、何らかのエネルギーが必要であり、これがダークエネルギーで、もしエネルギーが予想より大きいとすると、いつかは宇宙はバラバラに引き裂かれる破局を迎える。これはビッグリップと呼ばれるが、RIPとは「裂け目」という意味。だが、村山教授は「ご安心あれ」とでも言うように、ハワイのスバル望遠鏡で宇宙を観測した結果、1400億年はビッグリップは起こらない事が分ったそうだ。

 復習になるが、我々に馴染みのある原子から出来ている物質は宇宙の5%しかなく、27%は正体の分からぬダークマターであり、実に残りの68%はこれも謎のダークエネルギーである。つまり、現代科学を持ってしても宇宙はほとんどがまだ分かっていないのだ。ただ、太陽や銀河などが誕生したのは、ダークマターの引力のお蔭で、いわばダークマターは「生き別れのお母さん」とか。また、ビックバンは、インフレーションという超短期の急膨張の結果だが、そのインフレーションのエネルギー源は、ダークエネルギーと考えられると。その意味では、ダークエネルギーは「お父さん」だそうだ。

 ところで、最近、ブラックホールの姿が初めて観測されて大ニュースになった。これも姿を見せないこともあってか、謎に包まれてはいるが、太陽の質量の約30倍以上の重い星のなれの果ての(集合)である。

 

2019年4月25日 (木)

「毅然」と「迎合」と「我田引水」

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https://www.ene100.jp/%ef%bc%bbq%ef%bc%bd%e3%80%8c%e7%89%b9%e5%ae%9a%e9%87%8d%e5%a4%a7%e4%ba%8b%e6%95%85%e7%ad%89%e5%af%be%e5%87%a6%e6%96%bd%e8%a8%ad%e3%80%8d%e3%81%af%e3%80%81%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%aa%e3%82%82%e3%81%ae

 今朝の各紙に久しぶりに気持ちの良い「毅然」とした態度のニュースが載っている。原子力規制委員会(更田豊志委員長)が、原発テロ対策を怠った原発は、期限延長を認めず運転中止と決めたのだ。福島事故のあと、地震や津波と並んで、テロ対策をも電力各社に求め、委員会でのテロ対策計画認可のあと、5年以内での完成を求めてきたが、電力会社は1基500-1200億円もかかることもあって、事実上サボってきたきらいがある。

 だいたい、日本はテロが少ないし、政府が推進する原発再稼働には直接関係ないし、万一テロがあっても「想定外」として逃げられると、電力会社は踏んでいたに違いない。そこで今回の青天霹靂の発表である。例えば、関電では再稼働の4基、安全対策中の3基、合わせて7基のうち、最長で2年半の原発停止となり、数千億円の損失になると言う。

 5年もかかるというテロ対策とは、具体的に何であろうか。ネットで調べると、上図のように重要なコントロール設備や電源などを、原子炉建屋から100m以上はなして、もうワンセット予備を準備することで、航空機などによる原子炉攻撃などの際の事故対策とするもの。今回の決定で、電力各社の原発再稼働のハードルがさらに高くなったと想定されると。

 時折しも、経団連の中西会長は、「原発推進」の談話を発表し、安倍首相の意向忖度どころか、自身の属する企業への「我田引水」だと批判されている。一方、更田委員長は、日本原子力研究所の研究員出身で、政治的・経済的な関係が特にないのが強み。委員長の任期は2022年まで。

 他方、「迎合」したのは、昨日の朝日に載った温暖化対策有識者懇談会の北岡伸一座長の対応である。政府の地球温暖化長期戦略案の元になった提言で、北岡座長自身の原案は、「石炭火力の長期的な全廃」であったが、ここでも中西経団連会長らの猛反対で、「石炭火力への依存度を可能な限り引き下げる」に後退したと言う。

 石炭火力は、天然ガスの2倍の炭酸ガスを出すなど、地球温暖化の元凶とされ、英国やカナダなどは全廃を打ち出し、金融機関も「ダイベストメント」として、投資対象から外す動きが盛んである。世界の動きに逆行する経団連などの動きは、ここでも「我田引水」と疑われても仕方があるまい。

 なお、北岡座長はもと東大教授だが、現在はJICA(国際協力機構)理事長で、まさに外務省・通商省など政治の世界そのものに身を置いておられるのである。

 

 

 

 

 

2019年4月23日 (火)

アルミニウム

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http://www.kashima-coat.com/aluminum/aluminum.html

 栄図書館で10連休の読み物対策として「元素118の新知識」(桜井弘著)を借りた。考えてみれば、ウサギさんはもう365連休だから、その必要はなかったのだが、現役時代の性がまだ残っているのであろうか。「水素とは?」「酸素とは?」など日頃考えたこともなかったので、118の元素を片端から辞書のように引いていくのも結構面白い。

 中でも、ウサギさんの盲点だったのは意外にも「アルミ」である。一円玉、アルミ缶など、日常身の回りにあって、ほとんど気にしていなかったが、その原料国、生産国など迂闊にも知らなかった。かっては、大変な貴重品で、1855年のパリ万博のナポレオン3世主催の晩さん会では、銀食器の代わりにアルミ食器が使われたそうだ。本書に触発されてネットでちょっと調べて見た。

 日本では、アルミの40%が電車の車体などの輸送用機械に使われ、その他にアルミサッシなどの建築用が13%、アルミ缶やアルミ箔など容器包装用途が11%で、この3分野が主なアルミの用途である。

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http://www.amazon-aluminium.jp/trombetas.html

 原料はボーキサイトであり、豪州36%、中国14%、ブラジル11%(写真はアマゾンのボーキサイト鉱山)、ギニア9%、ジャマイカ8%、インド8%などが大所の産地である。

 問題は、ボーキサイトの精錬に大量の電気が必要な事。アルミ缶1個のために、20wの白熱電球を15時間点灯させる電力が必要で、良く言われるようにアルミは「電気の缶詰」である。したがって、1995年以降、電力コストの急上昇で、日本でのアルミ生産は実質ストップしたそうだ。

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https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/map/index15.html

 上図は見にくいがアルミの主要生産国を示す。中国46%、ロシア7%、カナダ6%、アラブ首長国5%、インド4%などで、ロシア、カナダ、アラブ首長国などは、電気料金が安いので競争力がある。日本の主な輸入先は、ロシア20%、中国15%、豪州14%、アラブ首長国10%などで、アルミは今やロシアの主要輸出製品(20%を占める)になっているらしい。

 ところで、アルミはリサイクルで地金を作る方が、ボーキサイトより作る電気量の3%で済むので、日本では95%がリサイクルされ、アルミは「リサイクルの優等生」と言われると。

 

 

2019年4月18日 (木)

面白くて眠れなくなる物理パズル

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 近くの本屋で「面白くて眠れなくなる物理パズル」(写真、左巻健男著)を見つけて買って見た。著者は、さまき(左巻)という珍しい名前だが、法大の教授で以前東大付属中・高の先生とか。内容は小中学生レベルだが、読者は暇な年寄り向けか。答えを見ると当たり前のクイズだが、意外な思い込みもあり面白い。

(第1問)上の表紙左上にニンジンが紐からぶら下がっているが、丁度ニンジンが水平になる位置で紐が縛ってある。そこで、包丁で紐の所でニンジンを縦に二分して、右側と左側のニンジンの重さを測るとどちらが重い? 水平だから両者の重さは等しいと思うであろうが間違い。答えは右のニンジンの方が重いのである。梃子の原理で柄の長いほうが小さい力で、柄の短い方の重いものを持ち上げられるのと同じ。

(第2問)同じサイズのゴルフボールとピンポンボールを室内で床に同時に落とすときどちらが早く落ちる? 重いゴルフボールに決まってると思うであろうが、答えはほぼ同時である。これは有名な問題で、もし空気がなければ、鉄も羽毛も同速度で落下する。信じない小中学生のために、真空にした実験装置があるとか。羽毛が超高速で落下するのを、もし子供たちが見れば驚嘆するに違いない。

(第3問)12畳間の空気の重さはあなたの体重の何%くらいある? 「空気のように軽い」などと言うから、空気は無視できる重さかと思うかもしれない。ところが、答えは何と約60kgであなたの体重と変わらないのだ。空気は1リットルあたり1.3gだが、1気圧の大気は1平方cmあたり1kgもあり、水柱を約10m、水銀柱を76cm持ち上げる。ウサギさんも子供の頃から重い荷を背負ってきたと感じた訳だ。

(第4問)陸上競技の100m走で、9人の選手が走るとき、スターターから一番遠い走者へ号砲音が伝わるのに、音速から計算すると0.03秒かかる。たいした差がないようだが、最近では100m走は、0.01秒を争うので困った問題となった。そこでこれをどう解決した? 答えは簡単で、各走者の後ろに各々スピーカーを置いて、号砲音はピストルからは出ないようにして、スピーカーから出るようにしてある。

(第5問)アポロ宇宙船が月面に設置した反射鏡に、地球からレーザー光線を当て、その往復時間から、月と地球の距離を測定しているが、月や地球の位置が変わっても、観測できるような工夫とは? 地球からの電波で月の反射鏡の角度を、時々刻々コントロールするなどの高度な手法を考えた人も多いと思うが、答えは実に簡単である。90度に開いた2枚の鏡では元の方向に光は戻る原理を応用して、これをお互いに90度に置いた3枚の鏡で実現したコーナーキューブ(下図)は、上下左右どちらからの光も元に戻る。

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http://geo.science.hit-u.ac.jp/research/minilec-ccr/

(第6問)1827年、イギリスの植物学者ブラウンは「ブラウン運動」を発見し、1905年、アインシュタインはその理論的解明を行って、分子の熱運動を発見した。それまで原子や分子は仮説で、分子の存在が初めて証明されたらしい。このブラウンが顕微鏡で観察したものは何? 答えは、皆さんが3-4月に大いに悩んでおられる花粉である。実は花粉は大きすぎてブラウン運動は見られず、花粉が水と接触して出す微粒子の方である。花粉症の犯人もこの微粒子の方で、ワセリンを鼻の中に塗るのも、花粉を水と接触させないためであるーー先日のNHK「ガッテン!」で仕入れた情報。

(第7問)人はじっとしていても、発熱という仕事をしている。何ワットくらい? 答えは一人当たり100ワットの電球くらいの熱を出す。日本人を1億人とすると、原発10基分くらいかな。

 まだまだ、いくらでも問はあるが、きりがないで止める。

 

 

 

 

2019年4月16日 (火)

映画「記者たち」

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https://en.wikipedia.org/wiki/Shock_and_Awe_(film)

 月曜の朝9時から、上大岡TOHOで「記者たちー衝撃と畏怖の真実」(2017年、米)を見た。英文タイトルは、「Shock and Awe]で、2003年のイラク戦争の作戦名のことである。英語通信教育の指定で、いつも何故かあまり人気がないユニークな?映画が多いが、大きなスクリーンなのに観客は5-6人しかおらず、これほど少なかったのも珍しい。月曜朝一のせいもあるが年寄りばかりで、ウサギさん含めて内4人が一番後ろの壁際に張り付いて、ひっそりと座っていたのもおかしい。

 2001年の911テロ事件を受けて、米大統領ブッシュは、事件の黒幕はイラクにありとし、大量破壊兵器の保持を理由に、2002年イラク侵攻を宣言した。しかし、中堅新聞社ナイト・リッダー、ワシントン支局の記者ジョナサン・ランデー(写真左端、ウディ・ハレルソン)と、ウォーレン・ストロベル(写真中央右、ジェームズ・マースデン)は、大統領のこの発言に疑念を抱く。

 ニューヨーク・タイムズ紙や、ワシントン・ポスト紙など大手メディアが、大統領に迎合した報道を続けるなか、ランデーとストロベルの取材は難航する。上司の支局長ジョン・ウォルコット(写真中央左、ロブ・ライナー)と、元従軍記者のジョー・キャロウェイ(写真右端、トミー・リー・ジョーンズ)に助けられ、地道な取材を続けて、遂に国防長官ラムズフェルドなどによる情報捏造の真実を掴むが、2003年に遂に開戦してしまった。

 ただ、映画は実話に基づくせいか、あくまでもストリーは地味で盛り上がりに乏しい。二人の記者の機密情報入手の経過もあまりすっきりしない。最大の観客の欲求不満は、真実を報道したものの、だからどうなったのかであろう。事実、イラク戦争では100万人以上が犠牲になったのだ。戦後、ニューヨーク・タイムズ紙 は謝罪したというが、政権側は「外地からの情報は今後慎重に扱うべきである」と反省したくらいかな?

 

 

 

2019年4月12日 (金)

ギュスターヴ・モロー展

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https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/

 神保町でのOB会の帰りに、パナソニック汐留美術館にちょこっと寄った。「ギュスターヴ・モロー展ーーサロメと宿命の女たち」で、「パリの宝石箱からこぼれ出た幻想世界」とのキャッチが付いている。

 展覧会のHPによれば、象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー(1826‐1898)は、神話や聖書をテーマにした作品で知られていると。幻想的な内面世界を描くことで真実を見いだそうとしたが、今回は女性像に焦点をあてた展覧会。出品作品は、洗礼者ヨハネの首の幻影を見るサロメを描いた名作《出現》(写真一枚目)や、貞節の象徴とされた幻獣を描いた《一角獣》(写真二枚目)を含む油彩・水彩・素描など約70点によって構成。

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https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/

 神話や聖書に登場する、男性を死へと導く「宿命の女」としての女性、誘惑され破滅へと導かれる「危うい存在」としての女性、そしてモローが実生活において愛した母や恋人。展覧会では、彼女たちそれぞれの物語やモローとの関係を紐解いていき、新たな切り口でモロー芸術の創造の原点に迫るとしている。

 モローのパリ国立美術学校教授時代の高名な弟子に、意外にルオーとマチスがおり、遺言でモロー美術館の初代の館長になったのは、愛弟子ナンバーワンのルオーである。なお、パナソニック汐留は、ルオー作品の蒐集で有名でもあり、ほぼ常設展示していると思う。

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http://www.merci-paris.net/musee/moreau.html

 驚いたことに、今回展示の全作品は パリのギュスターヴ・モロー美術館(写真3枚目)所蔵である。ウサギさんは2000年にトラさんと訪問している。記録によると、ルーブルがストだったので、二人で地下鉄トリニテ駅から歩いて探したとある。モローが長く住んだ4階建ての自邸で、国立の美術館では珍しいとか。それこそ狭い壁面は、1万点と言われる作品群で埋め尽くされていた。

 

2019年4月10日 (水)

キャッシュレス社会

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https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/8/28817.html

 政府は偽札防止のため、新札(写真)を2024年に 発行するとしたが、一方、現金を使わぬキャッシュレス社会を目指し、現在のキャッシュレス決済取引比率20%を、10月の消費税増税の還元ポイントなどで2025年には40%、近い将来には80%にするとしている。矛盾するように見える両者の関係の説明は一切ないが、もしキャッシュレス比率が80%にでもなれば、20年後の新札発行はもうなく、今回の紙幣が最後のお札発行になるかも。

 ところで、日本は現金の流通比率が世界で突出して多い国らしい。GDP比率で日本は20%もあり、アメリカ8%、韓国6%、スウェーデン1.4%などと比べても高い。日本はキャッシュレス 化が遅れているのと、銀行超低金利でタンス預金が、GDPの10%(流通現金の半分!)もあるのが主原因とか。

 一方、キャッシュレス決済取引比率では、 韓国96%、英国69%、中国60%、アメリカ46%、日本20%であり、日本は相当遅れている。ただ、面白いのは先進国のドイツで、何故か16%と日本と似て現ナマ嗜好である。特に中国で急速に進んだ原因は、固定電話インフラがなかったので、反って安い携帯が爆発的に普及し、QRコード読み取りの決済方式が簡単に露店などでも導入できたこともあり、スマホでの買い物が出来なければ、事実上日常生活ができない状態にあるそうだ。

 日本でも10年前は、キャッシュレス決済 は10%しかなかったが、アマゾン・楽天などのネットショッピングや、SUICA・Edyなどの電子マネーの普及 、携帯電話の支払いなどでクレジットカードへの抵抗感が減ったなどで、ここ10年で倍増したと言う。ともかく、現場での現金ハンドリングの負荷が減ることが生産性向上に繋がるとされる。また、中国などでは、乗り捨て自由の自転車サービスや、無人コンビニなどの新しいビジネスが、キャッシュレス社会の到来で展開されだしたらしい。ともかく、年寄りは戸惑うが、世の方向はキャッシュレス社会に向かっていることには間違いないであろう。

 

 

2019年4月 6日 (土)

地球生命の「明」と「暗」

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https://www.sankeibiz.jp/business/news/190405/cpc1904051707005-n1.htm

 JAXAは「はやぶさ2」が小惑星リュウグウ(直径0.7km)に弾丸を発射して、クレーターの作成に成功したと発表した。主目的は内部の岩石を後で回収して、水や有機物を調査すること。折からビル・ブライソンの「人類が知っていることすべての短い歴史」を読み終わったところだが、本書によれば、宇宙は135億年前、太陽は46億年前、地球は45億年まえにそれぞれ誕生しているが、地球の生命はもう40億年まえに生まれているのだ。生命誕生に必要な水や有機物が当時のまだ混沌とした地球に十分あったとは信じられず。これらは多数の小惑星の衝突でもたらされたとする説が有力とか。また、今朝の朝日によれば、リュウグウの水の酸素や水素同位体の割合や、アミノ酸構造が地球と同じ左手型かどうかが、判定のポイントとなるそうだ。

 上記は、地球生命歴史の「明」の部分だが、ブライソンによれば、長い歴史では生命絶滅という「暗」の事象が度々あったらしい。4億3千年前に超新星爆発によるガンマ線バーストでの大量絶滅、3億6千年前の寒冷化と海洋中の無酸素による絶滅、2億5千年前の史上最大の絶滅(メタンハイドレードの気化による酸素不足)、6550万年前の直径10kmの小惑星衝突による恐竜などの絶滅。ここで火星と木星のあいだで公転し、60万個以上も存在するリュウグウの仲間の小惑星が登場する。直径1kmの小惑星衝突でも、地球の気候に重大な影響があると考えられるが、その確率は100万年に1回とか。直径10kmともなると1億年に1回となる。

 なお、この恐竜が絶滅した小惑星衝突は、我々人類にとっては「明」でもあった。つまり、恐竜は2億5千年まえに既に生まれ、長い間、生物界を支配してきた。哺乳類は衝突時は恐竜に見つからないようにネズミほどのサイズしかなかったが、その小型だったお蔭で生き延び、恐竜が去った直後に我々の先祖の霊長類までが誕生している。

 ブライソンによれば、「暗」はこれからも続く。近時で最大のリスクは、アメリカのイエローストーン国立公園の火山大噴火とか。過去約60-70万年ごとに噴火し、今は60万年目頃にあたっている。このカルデラ大噴火がもし起こればアメリカは廃墟になるそうだ。もっと近くて時期が決まっている「暗」候補?もある。ネットによれば、2015年、英ノーサンブリア大学の研究チームは、太陽活動の発電分析から、2030年に太陽の活動が60%減となり、地球気温が下がってミニ氷河期が訪れ、20億人が餓死する怖れがあるとしている。この現象は、1645年-1715年テームズ川が凍ったりした以降になるが、多くの研究者は太陽活動と地球の温度は無関係ともするそうだ。やれやれ。

 

 

 

2019年4月 2日 (火)

マイ・ブックショップ

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https://eiga.com/movie/90358/

 黄金町のジャックアンドベティで、映画「マイ・ブックショップ」(英・西・独2017年)を見た。例の通信教育の関係で、日本では数か所、一日一回しか上映していない。それでも映画ファンは有難いもので、月曜の昼下がりと言うのに満席である。折から、大岡川河岸の桜は満開。

 1959年、イギリス海岸の田舎町に、戦争未亡人のフローレンス(写真、エミリー・モティマー)が移住して来て、亡夫との夢であった書店を開店する。ところが、保守的な町の人々の反対に遭い、中でも有力者のガマート夫人は、あらゆる手段を使って苛めに出る。当初は順調であった店の経営も、各種の妨害にあって、次第におかしくなる。

 そこで、助けに現れたのが、町の変人、ブランディッシュ老人で、40年も郊外の大邸宅に引きこもるが、町で唯一の読者家でもある。だが、彼の努力の結果もむなしく事態はますます悪化に向かう。頼りになるのは、遂に小学生のアルバイト女児一人だけとなった。ここからは、ネタバレの一部だが、傷心のフローレンスは遂に町を去る決心をするが、船着き場から去るその時、女児はさりげなく大事件を起こしていたのだ。

 何とも言えぬ英国の田舎の風情が素晴らしく、微妙な人間関係の描写も巧み。最後のプロットも気が利いている。こんな良い映画がメジャーの配給ネットから外れるのは惜しいが、現実を直視するしかないか。この映画は、スペインの映画祭の賞を独占したとか。さもありなん。

 

 

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