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2019年1月

2019年1月30日 (水)

平成は第2の日本敗北の時代

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https://www.doyukai.or.jp/minna/special_reports/vol1.html

 冗談を良く言う人に対しては、「冗談は顔だけにして下さい」と言うが、政府がまた冗談を飛ばした。景気拡大の長さがこの1月で6年2か月となり、戦後で最も長くなった可能性が高いとしたのだ。だが、国民の生活実感からはほど遠い机上の空論(統計不正ではないよね)の感じだし、現に日本の1%台のGDP低成長率は、米国や中国の高成長率に比べて、低迷しているとしか思えない。つまり、蛙が好景気ですよと心地よく安心して、「茹でカエル」になるパターンである。

 今朝の朝日のオピニオン&フォーラムで、小林喜光経済同友会代表幹事(写真、三菱ケミカルH会長、東芝取締役)のインタビュー記事が載っているが、「平成の30年間は日本の二度目の敗北の時代」と切り捨てている。アベノミクスが唱えられ、「財政出動、金融の異次元緩和での成長」を言われたが、本来は時間を稼ぐため、あるいは円高克服の手段であって、この6年間に独創的な技術や産業が生み出された訳ではない。若干の低失業率や株価の状況に満足し、本来はアメリカや中国の後塵を拝して挫折感を持つべきなのに安心している。与野党含めて国家の未来図が描かれず、事なかれ主義で、競争をよしとしない風潮さえあると。

 30年前の株価時価総額で、世界ベスト10の日本企業は8社もあり、アメリカは2社しかなかった。ところが今では、米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)や、中国のアリババ、テンセントなどが上位を占め、日本ではトヨタが40数位にランクされるのがやっとで、日本の一人負けである。技術の地盤沈下はもっと酷く、かって日本の独壇場であった半導体、太陽電池、光ディスク、リチウム電池などでは、中国・台湾・韓国などに席巻されている。特に将来の自動車の自動運転や遠隔医療に必須の次世代通信規格5Gでは、中国のファーウェイに独走され、AIやサイバーセキュリティなどの分野でも、欧米や中国に対して日本の敗北は明らかだそうだ。

 このまま進めば、地政学的には、日本はアメリカの一つの州、あるいは中国の一地方になるかも知れないし、または中立国として残るかもしれない。また、経済・技術を通した地経学的な見地が死活的に重要で、もし基幹的な技術を外国に頼るなら、2次3次下請けとならざるを得ない。現政権の官邸1強体制下で、役所も財界もすっかり委縮した。硬直化した日本の対策として、外国異文化の導入を奨める。文明や国は老いるーーローマ帝国、大英帝国しかりーーこの新陳代謝を怠ったのが平成の時代とも言えるよし。 

 経団連と並ぶ財界トップで、三菱系大企業の会長の話としては、安倍政権にとっても衝撃的であろう。言われた個々のことは誰もが知っている事実だが、まとめて「第2の敗北」とのショッキングな表現をしなかっただけである。ところで、財界までが首相官邸に掣肘されているとは驚きだが、内閣府や首相秘書官の評判が悪いことも事実である。

2019年1月28日 (月)

テニス界あれこれ

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https://news.tennis365.net/news/today/201901/122375.html

 先日の全豪テニスオープンの決勝戦実況に、NHKテレビにくぎ付けになった人が多いであろう。流石に人気番組の「ブラタモリ」も一週間延期になったくらいだ。優勝した大坂なおみ選手(写真)は、WTA世界ランキング1位となったそうだ。パットしないニュースが多い最近の日本で、飛び切り明るい話題である。

 ところで、ウサギさんの悪い癖がまた動き出した。そもそも、テニス選手の世界ランクはどうやって決まるのか? 世界のテニス界ツアーなどはどんな仕組みになっているのか? テニスを全く知らない素人が、ちょっと調べて知ったかぶりをするのも面白いかと思ってアップして見た。

 まず、世界のテニス界を取り仕切っている3団体があるそうだが、ITF(国際テニス連盟)、ATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)である。ITFは1913年創設で、グランドスラム4大大会(全米、全豪、全仏、英ウィンブルドン)とオリンピックを主催し、主としてテニスの国際的な普及を目指すらしい。

 一方、ATPは1972年、WTAは1973年スタートで、各種の世界ツアーを開催し、選手の世界ランキングを管轄する。面白いのは、全豪オープンとか、全米オープンとか、必ず「オープン」の名がテニス試合につくが、これはアマにもオープンという意味ではなく、逆でプロにもオープンの意味とか。つまり、ウインブルドンなどの4大大会は、かってアマしか出られなかったので、その地位が低下し、危機感を持って、1968年にプロも参加可能とした。それを契機にプロ選手の地位を守るためにATPとWTAが生まれたらしい。

 余談だが、このテニス界のアマとプロの問題はなかなか微妙な様子。オリンピック種目のテニスは、元来、アマでスタートしたが、プロの隆盛で1928年競技そのものが中止に追い込まれた。その後、1988年にプロも参加可という事で復活したと言う。日本では、アマで力を付けた選手は、申請すれば無条件でプロ資格が得られるそうだが、アマとプロの違いは、大会でアマは賞金が得られないことと。

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https://tennis.jp/guide/system

 女子テニスのツアーは第一図のような階層構造になっている。つまり上位ほど賞金総額が多く、ランキングの獲得ポイントも多い仕組みである。グランドスラムは、今回の全豪など4大大会のことで、優勝賞金は3-4億円と言われ、ランキング獲得ポイントも優勝2000点(準優勝1200点、3位720点、--)と多い。次のプレミアマンダトリーは、ツアー最高峰で年4回開催され、優勝者は賞金の他に1000点(2位600点ーー)が貰える。その次のプレミアム5は年5回大会の1位500点で、日本ではパンパシフィックオープンが相当。同様に、次のプレミアムは年12回大会、インターナショナル(日本女子オープン)は年31回である。なお、一番下の女子サーキット(ジャパンオープン)は、ツアーの対象外でITFが管轄し、賞金は貰えてもランキング・ポイントは付かないそうだ。

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https://tennis.jp/guide/system

 第2図は、男子の場合で女子と同様であるので説明は省略する。

 さて、ランキングの仕組みだが、過去1年間に得た上位得点18試合のポイント合計点で競う。毎週、月曜日に順位は更新されるので、グランドスラムなど、大きな試合があると順位はあっと言う間に変わる。しかも、上位30人にはハンデがあって、メジャーな18試合には必ず出なくてはならない。もし、欠席すると0点とカウントされる。しかし、年間の上位8人にはボーナスがあって、年末に特別な試合(ATPワールドツアー・ファイナルズ、WTAツァー・チャンピオン・シップス)があり、賞金と共に加点もされる特典があるそうだ。

 尚、1月28日に発表されたWTA世界ランキングでは、1位大坂なおみ7030ポイント(前回4位5270ポイント)、2位クヴィトバ(チェコ)6290p(前回6位)、3位ハレプ(ルーマニア)5582p(前回1位)である。また、朝日新聞は過去の1位在位期間長さのランクを載せているが、1位グラフ(独)377週(1987-)、2位ナブラチロワ(米)332週(1978ー)、3位S・ウイリアムズ(米)319週(2002-)である。大坂はまだ1週の26位だが、今後どこまで順位を上げるのか楽しみ。

 さて、この4大メジャー大会に参加するにはどうするのか、ウインブルドンの例で調べた。男子シングルスを例にして紹介するが、他も同様の筈である。大会6週間前に本人が申し込みを行い、ランキング上位104選手が予選なしで本戦へ出場できる。そして選考に漏れた選手の中から主催者から推薦で8選手が選出される。どちらの選考にも呼ばれなかったランキング次の上位120位の選手と、ここでも上とは別に主催者推薦枠として8選手、計128選手で予選を戦い、本戦には16選手が勝ち上がる。この16選手と本戦出場資格のある112選手の、トータル128選手で本戦を戦う。

 つまり、予選に参加するまでに、最低でも世界ランキングの上位200位ほどには入っていなければならないというわけ。ところが、この予選通過がなかなか難しいらしい。最近では残念ながら、日本人では大坂なおみ、錦織圭選手以外には、本選に参加できていないと思う。

2019年1月25日 (金)

世界の最重要人物100人(その2)

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http://www.gibe-on.info/entry/thomas-alva-edison/

 本ブログ「世界の最重要人物100人(その1)」の続き。http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/100-9e42.html
 工学分野では、エジソン1位(写真)、アークライト17位(イギリス1732-92 紡績織機)、ライト兄弟20位、マルコーニ27位、ベル31位、モールス39位、テスラ57位(セルビア1856-1943 交流電気)、ハリソン63位(イギリス1693-1776 クロノメータ)、マキシム65位(アメリカ1840-1916 機関銃)、パッラーディオ76位(イタリア1508-80 建築家) ダゲール79位(フランス1787-1851 写真)など。もし、インターネットの発明者が明確であれば当然載るべきと思うが。
 実業家としては、フォード15位、ロックフェラー51位、バーナム81位(アメリカ1810-91 サーカス)、ディズニー90位だが、流石のビル・ゲイツもここではまだ子ども扱いか。それにしてもサーカスとはびっくり。
 次は武力を大いに発揮した人たち。ナポレオン12位、クビライ23位(モンゴル1215-94)、スレイマン1世38位(トルコ1484-1566 オスマン帝国)、コルテス42位(スペイン1485-1547 アステカ帝国征服)、アクバル48位(インド1556-1605 インド統一)、ジャンヌ・ダルク54位(フランス1412-31)、ルイ14世56位(フランス1638-1715、太陽の王)、ウイリアム1世61位(フランス1066-87 イギリス王室開祖)、ピョートル1世77位(ロシア1672-1725 ロシア史の開闢)など。ナポレオンはやはり凄かった様子。
 冒険家で名を残したのは、コロンブス2位、マゼラン7位、鄭和14位(中国1371-1434 朝貢貿易拡大)、ヴァスコ・ダ・ガマ37位、イブン・バトゥータ44位(モロッコ1304-69 アフリカ・アジアを探検)、マルコ・ポーロ49位など。1000年の前半で世界の探検は終了した。
 宗教関係では、マルティン・ルター3位(宗教改革)、カルヴァン40位(プロテスタント)、インノケンティウス3世64位(イタリア1161-1216 全盛期の教皇)、マテオ・リッチ68位(イタリア1552-1610 中國とヨーロッパの架け橋)などで、その前の激動の1000年に比して静かではある。
 思想・哲学関係はウサギさんが特に弱いこともあってなかなか難しい。カール・マルクス18位、デカルト32位、トマス・アクイナス34位(イタリア1225-94 神学大全)、朱熹45位(中国1130-1200 朱子学)、ジョンロック47位(イギリス1632-1704 イギリス経験論)、ジャン=ジャック・ルソー52位、カント58位、イブン・スィーナー71位(ペルシャ980-1032 イスラムを代表する知識人)、ボーヴォワール72位、アダム・スミス74位(スコットランド1723-90 国富論)、イブン・ハルドゥーン98位(チェニジア1332-1406 イスラム世界最大の学者)
 最後の大きなジャンルは政治分野だが、超有名人の中に混じるかなりの数の政治家をウサギさんは知らない。歴史に残る100人というのに我ながら情けないが、事実は隠しようがない。トーマス・ジェファーソン10位(アメリカ建国の父)、ヒットラー13位、ガンジー22位、ジェームズ・マディソン24位(米国憲法)、ボリバル25位(南アメリカ1783-1830 ラテンアメリカ解放)、メアリ・ウルストンクラフト26位(イギリス1759-97 男女教育機会均等)、毛沢東28位、レーニン29位、ルーサー・キング30位、リンカーン35位、フレデリック・ダグラス55位(アメリカ1818-95 奴隷廃止)、ビスマルク60位、ジェーン・アダムス66位(アメリカ1860-1935゙ ソーシャルワーク)、スーザン・B・アンソニー83位(アメリカ1820-1906 女性参政権)、テオドール・ヘルツル87位(オーストリア1860-1904 シオニズム運動)、エリザベス1世88位(イギリス1533-1603 英国黄金時代)、ネルソン・マンデラ91位(反アパルトヘイト運動)、カトリーヌ・ド・メディシス97位(フランス1519-89 ブルボン王朝最盛期の王妃で食文化の変革)、クワメ・エンクルマ99位(ガーナ1909-72 アフリカ独立運動の父)

 いよいよ「その他の分野」で、それだけユニークな人々である。ナイチンゲ-ル41位(イギリス1820-1910 近代看護教育)、ヘレン・ケラー85位(アメリカ1880-1968 障害者教育)、ロジャー・バニスター92位(イギリス1929-2018 世界で初めて1マイル4分を切った)。

世界の最重要人物100人(その1)

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https://www.amazon.com/Life-Millennium-Important-Events-People/dp/082122557X  

 アメリカのライフ誌が、1999年12月31日号で、「ここ1000年での世界最重要人物100人」の特集(写真)をしたが、その中に日本人ではただ一人葛飾北斎が86位で入ったことは、先日の本ブログで書いた。http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-8781.html

 そこで他にどんな人が載っているのか興味を持ち、分野ごとにちょっと整理して見た。知らない人物が意外に多いのに我ながら驚く。

 北斎の芸術(美術)分野では、ダ・ヴィンチ5位(イタリア1452-1519)、ミケランジェロ36位(イタリア1457-1564)、范寛59位(中国950-1032 山水画)、ピカソ78位(スペイン1881-1973)、ラファエロ84位(イタリア1483-1520)、北斎86位(日本1760-1849)であり、北斎はゴッホやマチスなどを凌いだ。
 ついでに芸術(文学)分野では、シェイクスピア11位(イギリス1546-1616)、ダンテ50位(イタリア1265-1321)、曹雪芹67位(中国1724-63 紅楼夢)、ルーミー73位(ペルシャ1207-73 神秘主義詩人)、トルストイ93位(1828-1910)であり、ヘミングウェイやスタインベックなどアメリカ人作家は登場しない。
 面白いのは芸術(音楽)分野で、ベートーヴェン33位(ドイツ1770-1827)、ダレッツオ62位(イタリア991-1037 楽譜記譜法)、ルイ・アームストロング69位(アメリカ1901-71)、モンテヴェルディ89位(イタリア1567-1643 バロック音楽)などで、定番のバッハやモーツアルトは番外である。  

 科学分野は流石に多いので順位付けには苦労したろう。名前と順位だけ記すと、ガリレオ4位、ニュートン6位、パスツール8位、ダーウィン9位、フロイト16位、コペルニクス19位、アインシュタイン21位、リスター43位(イギリス1827-1912 消毒法)、メンデル46位、ボーア53位(量子論)、ファラデー70位、キューリー75位、ラヴォアジェ80位、ハッブル82位(現代宇宙論)、ノイマン94位(情報理論)、カハール95位(スペイン1852-1934 神経解剖学)、クストー(フランス1910-97 水中考古学)、リンネ100位だが、初めてお目にかかる人もいて科学も範囲が広いことを実感。

 

 なお、ブログ容量の関係もあり、工学、実業、武力、冒険、政治、思想、宗教、その他のジャンルの人々は、「その2」で紹介する。http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/100-1ae8.html

 

2019年1月23日 (水)

新・北斎展

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https://hokusai2019.jp/works.html#nidai

 学士会の帰りに、森アーツセンターギャラリーで、「新・北斎展」を見た。NHKeテレ「アートシーン」の宣伝で見たもの。六本木ヒルズ森タワー52階の美術館は、月曜日だったが開館していた。客の入りは思ったより少ない。

 北斎(1760-1849)は、多作の画家で3万点を残したそうだが、うち479点が今回展示され、驚いたことにその約95%は島根県立美術館(永田コレクション)所蔵とある。永田生慈氏(1951-2018)は、子供の頃に北斎の「富嶽三十六景」に魅せられ、一生を北斎の研究とコレクションに打ち込んだ浮世絵の研究家とか。

 1990年に郷里の津和野に葛飾北斎美術館を開設したが、2015年閉館し、1000点を島根県立美術館へ寄贈したらしい。この展示会は永田氏中心に企画されたが、昨年に亡くなったそうだ。写真の「弘法大師修法図」は、1983年西新井大師總持寺で永田氏が発見した北斎最晩年の大作。

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https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/exhibit/traveling/manga_hokusai.html

 北斎は画号を30回も頻繁に変えたことで有名だが、そのうちの主な6号の「春朗」、「宗理」、「葛飾北斎」、「戴斗」、「為一」、「画狂人卍」を期別に整理して今回展示している。また、北斎は変わった人で、住居を93回も変わり、一日に3度移ったこともあるそうだ。金銭には無頓着で、相当な収入があったが、身なりは貧しかったらしい。

 なお、ウイキペデイアによれば、北斎は特に代表作の「Great Wave  神奈川沖浪裏」や「北斎漫画(上図)」で、世界的に著名な画家であり、1999年には、アメリカの雑誌である『ライフ』の企画、「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人として唯一86位にランクインしたそうだ。門人の数は極めて多く、孫弟子も含めて200人に近いといわれると。

 なお、参考までに、2017.1121の本ブログに「北斎とジャポニズム」を載せている。http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-a9eb.html

2019年1月22日 (火)

遺伝統計学

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http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/2486

 学士会の午餐会で、大阪大学岡田隋象(ゆきのり)教授(写真)の「遺伝統計学で迫る日本人集団の適応進化」という講演を聴いた。ともかく、講師は1980年生まれで、出席メンバーの平均年齢のおよそ半分と若い。この先端分野の開拓者として有名な人らしいが、NHKがラジオ放送のために録音をとっていた。

 余りに老人ホームの感じがしたのか、「ゲノムの名を聞いたことのある人」とまず手を挙げさせて、知的レベルを確認した。ATGCなどゲノム配列や染色体などの懇切な解説があり、ヒトの常染色体数44本は、類人猿の46本から変異したものと。ヒトの30億のゲノム配列の個人差を多型と呼び、一塩基の多型をSNP(スニップ)と言う。つまり、ATGCの一文字のみが変わったもの。

 ヒトの集団では、新たに生まれるSNPと、消滅するSNPの数は統計的に等しいので、集団の中に存在するSNPの数はほぼ一定に保たれる。2500人を調べると、約1憶個のSNPがあると。

 

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https://www.slideshare.net/YukinoriOkada/2017-79276277

 個々人のゲノム情報はシーケンサーという機械で読み取るが、2000年では一人100億円もかかったが、最近では次世代シークエンサーが開発され、僅か一人5000円で可能となった(上図)。お蔭で研究が大規模化し、英国では50万人のデータが既に得られている。特に最新機能のシークエンサーは、民間企業でも多く導入され、大いに活用されているのが特長とか。

 このSNPなどの遺伝情報と、姿形・病気などの形質情報との関係を評価するのが遺伝統計学である。このSNPが発生する選択圧は、自己が生存に有利なように選択するとの考え、「自然選択説」があるが、三葉虫の例では、選択しすぎてあるとき環境の激変で全滅した。従って、選択は確率のみで起こるのだとする「中立進化説」も有力で、両方正しい?とされていると。

 このSNPの意味ある変化を経時的に見ると、一般には数万年かかるとされるが、集団の極めて低い変異に着目することで、数千年の選択が分かるようになったと。その結果、欧米人の背が高いのは、寒冷地に移住したためと判ったそうだ。

 日本人では、この3000年間の正の変異に、他民族に比してアルコールに弱くなっているのと、栄養に関係する病気(糖尿病など)に罹りやすくなっているそうだ。これは、東アジアの稲作地域に共通的に見られる現象らしい。特に、最近、欧米でホットニュースになっているのは、ネアンデルタール人との交雑由来のゲノム配列が、現代人の病気に関係があるとする説とか。

 日本のこの分野、特に大規模なデータ解析の分野は人材不足であり、若い人の育成に努めているそうだ。ともかく、夢のある新分野であり、ひょっとして我々の存在の根源に繋がる何かとんでもないことが見つかるかも知れない。

2019年1月18日 (金)

四騎士GAFA

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https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492503021/tkdm16-22/

 英語通信教育の教材で、「the four GAFA   四騎士が創り変えた世界」(2018年)の著者、スコット・ギャロウェイ(ニューヨーク大教授)のインタビューを聴いた。GAFAというのは、米国IT企業のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字で、今や2018年の新語・流行語大賞にノミネートされるくらい、日本でも良く知られているバズワードである。

 「ヨハネの黙示禄」の四騎士のように、GAFAが成功したのは、人間の極めて基本的な本能に入り込めたからと。つまり、身体の上部から下部へ例えて言えば、グーグルは頭脳の「神」、フェイスブックは心臓の「愛」、アマゾンは胃袋の「消費」、アップルは下半身の「性」であるーーこの人は皮肉屋かつユーモアが好きな学者で、読者を魅了させる天才との書評もあり。

 過去、人類はもし病気の子がいれば神に祈ったが、現在ではグーグルを検索してその対処法を教えて貰う。つまり、グーグルが神になったのだ。また、人々はお互いの人生に関わりたいとの基本的な欲求があるが、フェースブックは写真などで20億人以上の人々の繋がりを創った。アマゾンは廉価で多くの物を人々に提供し、時価総額では世界で最も価値のある企業である。アップルのiPhoneは、配偶者として優れているという信号を送る。つまり、自分を魅力的に見せる最良のツールを提供するのだ。ーーこのアップルの「性」というのはちょっとこじつけ?
 一般に、トヨタ・ソニー・資生堂などの製品は、使用と共にその価値は減少する。ところが、GAFAは使えば使うほど、ネットワーク技術のお蔭で価値が増大するという特徴がある。アマゾンのカスタマーレビューに書き込む度に、アマゾンのプラットフォームの価値は上がる。つまり、企業は老化せず、どんどん若返るのだ。
 フェイスブックは、史上、人類が創った人工物では最も成功したもの。キリスト教徒よりも、資本主義社会に住む人よりも多くの人がフェイスブックと有意義な関係がある。しかも15年という短い期間で創った。だが、現在最も成功しているのはアマゾンである。アマゾンは商品検索で55%のシェアがあり、家庭での音声アシスタントでは70%のシェアを持ち、クラウドでも1位である。
 一方、アップルは最も利益率の高い企業である。巧みなサプライチェーンのお蔭で、スマホの原価が安くできるのが武器で、車で言えば、トヨタの原価なのにフェラーリの価格で売っている感じである。アップルは、2017年四半期にアマゾンが創業以来だした利益の2倍も稼ぐ見込みである。
 ところで、この4社に次ぐアメリカIT企業の第五の騎士は、マイクロソフトやウーバー(ネット配車事業者)ではなく、ネットフリックス(映像配信事業者)である。アメリカのミレニアル世代(1980年から2005年頃生まれ)は、他の全てのケーブルテレビを合わせた時間より長く、ネットフリックスを見ている。

 100年前に強大であったアメリカの100社のうち、生き残ったのは11社しかない。IBMは1970年代に、マイクロソフトは1990年代に衰退が始まっている。もし、GAFAの独占状態が続けば、監視官の規制介入が始まるかもしれない。特に、ヨーロッパが要注意である。

 ちょっとこのインタビューで気になったのは、GAFAの持つ負の側面に全く触れていない事。膨大な個人情報を持ちながら、その管理が不全なこと、ユーザーのビッグデータを適当に操作して、自分に有利な取引に導く傾向があることなど。もっとも、「GAFAはアメリカの誇り」であるから、この点は見て見ぬふりか?

2019年1月14日 (月)

朝日俳壇・歌壇の常連有名人

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http://www.fuyukotomita.com/about.html

 朝日新聞日曜朝刊の「朝日俳壇・歌壇」は必ず見ている。ウサギさんは、俳句や短歌もあまり分からないが、知り合いが時々載るので、どちらかと言えば、住所の市名欄から氏名をサーベイする感じである。そこで、特にホームレスや外国在の方はカタカナが目立つので、名前が記憶に残りやすい。

 ところで、昨日の俳壇で、オランダのモーレンカンプふゆこさんが、三人の選者から選ばれ、しかも驚いたことに三句とも別作品である。   *冬枯れの庭に椿の赤子かな  *難民は北上南下のスキー客 *土壇場でドタバタするな初鏡  

 ちょっと、珍しい名前にも興味を持って、モーレンカンプふゆこさん(写真一枚目)のhpを見ると、本名富田冬子で、Molenkampはペンネームとか。1943年生まれ、米アイオワ大に留学、ニューヨークの国連本部で働いたあと、オランダに移住し結婚して二人の子の母。オランダの日本語学校や大学で教鞭をとり2008年引退。40歳の時から、短歌と俳句を始め、朝日俳壇・歌壇の常連に。 1985年に朝日歌壇賞、1992, 2013、 2014年に朝日俳壇賞受賞。上記の「難民はーー」などは、欧州在でないと発想が沸かないであろうか。

 一方、朝日歌壇では有名人が多いようだ。何といっても、ホームレス歌人の公田耕一さん。2008年12月から翌年9月にかけ、毎週のように投稿作は採用され、28首を残して忽然として消えた。   *(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ   *鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか    *哀しきは寿町と言ふ地名長者町さへ隣にはあり

 現役の常連では、アメリカの獄中歌人郷隼人さん。公田さんを詠んで、*囚人の己が〈(ホームレス)公田〉思いつつ食むHOTMEALを   *一瞬に人を殺(あや)めし罪の手とうた詠むペンを持つ手は同じ  *老い母が独力で書きし封筒の歪んだ英字に感極りぬ

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https://matome.naver.jp/odai/2146642459389412201

 ネットで盛んにその消息が尋ねられるのが、富山市の松田姉妹(写真二枚目)である。2009年4月に朝日歌壇に初登場。      *咲こうかなそれとも明日咲こうかな塾の帰りに桜の会話  松田梨子(11歳)   *始業式今日から私三年生カッパ卒業オレンジのかさ  松田わこ(8歳)

 以来、二人は歌壇の毎週のような常連で、ウサギさんもそうだがファンも多かった筈。それが、2018年8月の次の作を最後に何故か登場しなくなった。  *二十歳から始めることとやめること考えている猫をなでつつ  松田梨子   *「やくそく」って素敵な響き白桃の優しさ晩柑の爽やかさ  松田わこ

 

 

2019年1月12日 (土)

原発政策、八方ふさがり

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https://digital.asahi.com/articles/DA3S13845597.html?rm=150

 日立の原発英国輸出計画が中断(実質中止)され、市場はこれを好感して日立の株価が上がった。これで、トルコ、英国、米国、ベトナムなど政権が旗を振り、成長戦略の柱とした8件の原発輸出は全て失敗した。本ブログ2018.12.6「原発輸出、政府の素人ビジネス」 http://joudeki.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-bba9.html

でも書いている。

 一方、関連して今朝の朝日は、「日本政府の原発政策、八方ふさがり」と特集している(上図)。輸出以外にも、停止した原発の再稼働が、地元や世論の支持が得られず予想外に停滞しているし、核燃料の六ケ所再処理工場は20回以上も完成が延期され、予算の4倍の3兆円近くもかかっている。米国が核兵器用と疑うプルトニウムは溜まる一方である。

 核燃料サイクルに欠かせない高速炉計画も、中止した「もんじゅ」の後継炉が、頼みにしたフランスが計画を縮小して怪しくなり、2050年以前商用化が今世紀後半にずれこんでいる。核のゴミの最終処分場選定も進展していないなど、原子力関係の政策は、全て行き詰っていると。

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https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-163158/photo/

 それでも政権は政策の抜本見直しに踏み切ろうとしないと朝日は言う。経済産業省出身の官僚が政権中枢を占め、自民党内も原発推進論が主流を占める。「安全最優先を前提として、原子力の平和利用、気候変動問題への対応に責任を果たしていくという政府の基本的な考え方に変わりはない」。菅官房長官は昨日の会見でこう述べ、原発輸出政策を堅持する姿勢を強調したらしい。

 ところで、この安倍政権の中心で原発を推進していると言う経済産業省出身者とは誰であろうか? ネットで調べると、今井尚哉首相秘書官と、2年後輩の柳瀬唯夫元秘書官のことらしい。今井尚哉氏は、元エネ庁次長(資源エネルギー庁、経産省の外局)で、安倍首相の縁戚でもあり、首相の側近中の側近と言われる人。

 片や、柳瀬唯夫氏(写真)は、元エネ庁原子力政策課長から秘書官になった人だが、畑違いの加計学園問題では愛媛県職員と首相官邸で面会。「本件は首相案件」と発言した記録が出て国会へ参考人招致されるも、「記憶の限りでは会ってない」と言い逃れして話題となった。

 柳瀬氏は昨年7月経産省ナンバー2の経産審議官を退任したが、おサルさんに教わったところでは、昨年12月1日東芝クライアントソリューション社の非常勤取締役に再就職したらしい。国内外のパソコン事業を手がける同社は、もとは東芝の100%子会社だったが、昨年10月にシャープに買収され、東芝の出資比率は20%に下がった。そして柳瀬氏が着任して2日後の12月3日、社名を年始から「ダイナブック」に変更することが発表されたのだーー時期は偶然の一致?

 「柳瀬氏は、経産省内では“原発推進派のエース”と知られていた。だからこそ、原発を手がける東芝の関連会社に再就職することになったのでしょうが、あまりにも分かりやすい構図です」とは、経産省のある人の話。「だが、無謀なウェスティングハウス関係を推進した恨みの張本人を東芝が受けるとは?」という疑問もあるとかーーまさか、「本件は首相案件」じゃないよね。

 「柳瀬氏は、2004年に、政府、財界を巻き込んだ『原子力立国構想』を打ち出した。原発輸出による“原子力外交”を進めたことで、政権から重用されるようになった。その後、震災が起きて原子力政策が見直しされてからも、安倍政権で原発輸出モデルが変わらなかったのは、柳瀬氏あってこそです」(経産省関係者談)。

 ところが、この立派な原子力立国構想は、驚くことに上図のように、その全てが実現していないのだ。それどころか、各アイテムごとに、数兆円以上の損失をだしている。

 

2019年1月11日 (金)

ハイパーインフレーション

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https://twitter.com/naoyukitoyama/status/984249246688792576

 横浜DeNAベイスターズのラミレス監督の母国、南米ベネズエラが大揺れである。2018年のインフレ率は170万%(写真一枚目)であり、2019年は1000万%になるという、まさにハイパーインフレである。石油埋蔵量が世界一で、輸出の95%は石油に依存するが、2014年のオイル暴落と、その後の外資系排除などの、政府の経済政策失敗も手伝って、このハイパーインフレを招いたらしい。

 チャペス、マドゥロ大統領と、反米独裁政権が続いた。特にマドゥロ大統領の2期目が昨日から始まったが、南北アメリカ大陸諸国からは承認されておらず、ロシアと中国の支援が頼みである。今朝の朝日は、「続く人道危機」として、食糧や医療の不足が深刻で、国際社会のサポートが必要だが、足並みが揃いそうもないと言う。人口の10%の300万人が既に国外へ逃れ、2019年末には20%弱に達する見込みとか。医師の60%弱は既に国内にいないそうだ。

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https://press.share-wis.com/german-hyperinflation

 このハイパーインフレの歴史をウイキペディアで調べると、ドイツ(写真二枚目)が有名である。ドイツは第一次世界大戦敗戦での賠償金が払えず、業を煮やしたフランスとベルギーが、1923年ドイツのルール地方を占拠した。ドイツ政府はストで抵抗する労働者の賃金を払ったので、財政破たんを起こし、100兆マルク紙幣が発行されるなど、空前のハイパーインフレが発生した。酒場では、帰りにはもう値が上がるので、入店時に全てのビールを注文したと言う。

 このドイツのハイパーインフレは、アメリカが賠償金支払いに参加するなどで翌年収まったが、その後、1929年の世界恐慌のとき、逆方向に振れた。つまり、政府や財界は、ハイパーインフレの再来を恐れ、極端なデフレ策をとったので経済は停滞し、1933年には失業率は実に40%に達した。結果的にナチスの合法的な台頭を許したそうだ。

 このインフレ率のギネス記録は、1946年のハンガリーで、物価は一日で2倍になったというから凄い。発行された紙幣で最高額は、1垓(がい)で、何と1兆の1億倍である。こんな巨大な数字の紙幣で買い物をしていたハンガリー人は、頭が良いのか狂ってる? なお、余談だが、兆(10の12乗)の上の単位は京(10の16乗)で、垓(10の20乗)は更にその上の単位。命数法の最大の単位は、無量大数(10の68乗)。

 その他、1988-91年のアルゼンチン、1986-94年のブラジル、1992-95年のロシア、2000-9年のジンバブエなどのハイパーインフレが有名。ところで、このハイパーインフレは何故こんなに度々発生するのであろうか。安定した先進国ではまず起こらないが、本質は、政府が通貨を経済が提供可能な以上に余計に発行して、シニョリッジ(通貨発行益)を得ようとするからである。

 通貨が実勢以上に増えれば、その価値は下落し物価が上がる。つれて公務員の給料も上がり、例えば政府の財政赤字は更に進んで、もっと通貨を発行するので、エンドレスのインフレ地獄へ進むのである。これをストップするには、通貨単位を替えたり、デノミを行い、政府がシニョリッジを求める原因を本質的に取り除くことで、急速に収束できるらしい。

 では、何故、政府は悪いと知りつつシニョリッジを求めるのか? 原因は色々あるらしいが、一つは戦争処理や革命時に起こり、上記のドイツやハンガリー、ロシアの例であるまた、財政難を政府は、一般に国債などで賄うが、これを外国に頼った場合、国内経済の不調を見た外国が手を引くケースで、南米やアフリカなどの例が該当する。勿論、政府の経済政策失敗がトリガーになる場合が多いそうだ。

 日本は、むしろインフレを起こそうとするくらい呑気な国だが、財政赤字のGDP比率は、ダントツの世界一で、国債の買い手が、貯蓄好きの国民であるのが幸いしているに過ぎない。このまま国の借金が増え続ければ、遂には国債を外国に頼るようになり、ハイパーインフレが起こる危険性はゼロではない。

2019年1月 9日 (水)

ノーベル賞受賞者と特許

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39787730Y9A100C1EA1000/

 今朝の日経に「オプジーボ こじれる対価 本庶氏と小野薬、契約巡り溝 」 との記事が出ている。前からちょっと気になっていたが、ノーベル賞受賞者と特許の関係をネットでおさらいした。特に新情報はない。

 がん免疫薬につながる基礎研究で2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京都大学特別教授(写真一枚目)と、「オプジーボ」を実用化した小野薬品工業が、対価を巡る仲たがいが影を落とす。背景には両者が交わした契約があったと。

 「小野薬は研究自身に全く貢献していない、論文に小野薬の研究員の名はない。」(本庶氏)。「30年以上、研究員を本庶氏の元に派遣し資金提供してきた。今も毎年5000万円を寄付する。」(相良暁社長)。2018年10月の授賞決定後、お祝いムードに水を差す両者の応酬におかしいと思った人も多いであろう。

 本庶氏は当初、京大に出願を要請したが、知的財産に関心が薄かった京大側は「(特許を維持する)費用を負担できない」として拒否したので、2002年小野薬と共同出願した。その後、小野薬は米社と共同開発を進めたので、2005年に本庶氏と新しい契約を結んだが、更にメルク社の特許侵害が2014年に発生したりして、本庶氏と小野薬の契約の対価の解釈違いなどから対立が深まったと言う。

 本庶氏は昨年12月、若手研究者を支援する基金を京大内に立ち上げた。ノーベル賞の賞金に加え、がん免疫薬の対価も充てる考え。「仮に年4兆円の売り上げで0.5%の料率なら5年で1000億円だ」(本庶氏)。ただ、小野薬側は基金へ協力する意思表明はまだないそうだ。京大の産学連携担当者は「本庶先生は大学と企業の今後の関係を対等にするためにも、譲歩せず小野薬と交渉を続けるだろう」と語る。共存共栄のための産学連携の新しい仕組みづくりが急務だと日経は言う。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%BF%AE%E4%BA%8C

 一方、中村修二氏(写真二枚目)は、日亜化学在籍時に、世界に先駆けて実用に供するレベルの高輝度青色発光ダイオードを発明・開発し、赤崎勇・天野浩氏と2014年にノーベル物理学賞を受賞した。従来、光の三原色の青色がなかったため、実用化が遅れていた、発光ダイオードの用途を飛躍的に拡大した。

 だが、日亜化学在籍時の特許対価支払いを不満として提訴し、東京地裁では200億円の裁決を受けたが、結局、2005年東京高裁では8億円余で和解した。なお、本事件は大きな社会問題となり、その後の企業の特許報酬制度へ与えた影響は大きいものと見られる。

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ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9D%91%E6%99%BA

 今度は企業との関係が極めてうまく言った例の紹介。大村 智氏(写真三枚目)は、2015年ノーベル生理学・医学賞受賞。 微生物の生産する有用な天然有機化合物の探索研究を45年以上行い、これまでに480種を超える新規化合物を発見し、それらにより感染症などの予防・撲滅、創薬に貢献した。

 1987年10月のニューヨークタイムズ紙には、メルク社がイベルメクチンを元にした治療薬「メクチザン」の無償提供を開始したニュースが掲載されているが、世界保健機構(WHO)を通じてアフリカや中南米、東南アジアなどに無償・低価格で提供され、沖縄を含む熱帯地域に住む人々述べ10億人以上を風土病などから救った模様。

 なぜ無償提供が実現したかというと大村氏だ。同氏はメルク社との契約の際に特許ロイヤリティを受け取る契約を交わしている。大村博士らが治療薬の商用利用で得られる特許ロイヤリティの取得を放棄し、無償配布に賛同したために実現した。つまり、彼は10億人の人々を救うために特許権の一部を放棄したらしい。

 もちろん、それ以外については特許ロイヤリティが北里研究所に支払われる契約のため、1990年頃から数えても250億円以上の収入があったという。それまでは経営に苦しんだ時期もあったが、特許による収入を元に研究所の経営も立て直し、研究助成や研究所運営、病院建設に役立てられたそうだ。

 さらに、2007年には故郷である山梨県韮崎市に私費で韮崎大村美術館を建設。自身が所有していた1500点以上の美術品を寄贈した。建設費だけでも2億円、展示品は総額5億円以上にも及んだと。その他にも、近くに温泉施設やそば屋を寄付したとも紹介されている。行動が表わす彼の「人間力」も相当なものだが、「私は微生物の力を借りただけ」などの数々の発言から見える誠実な人間性も多くの支持を得る理由の一つ。ノーベル平和賞を受賞してもいいのでは?なんて声もあるそうだ。

 

2019年1月 3日 (木)

「押し紙」

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http://www.mynewsjapan.com/reports/436

 おサルさんと、「相変わらず元旦の新聞は分厚いけど、読むところが少なく、紙が勿体ないね」などと話した。一方、我が家の独立した子供たちも新聞を購読していないようで、若い人の新聞離れが進んでいるとの記事も見かける。そこで、実際の新聞の購読率をネットで調べてみた。

 日本新聞協会が公表している「新聞の発行部数と世帯数の推移」と題する資料によると、2017年10月の段階で、1世帯あたりの新聞購読部数は、0.75部となっている。2000年の段階では、1.13部であったからこの17年間で大きく落ち込んだことになるそうだ。

 だが、ネットの記事では、この1世帯あたり平均して0.75部の新聞を購読しているとする新聞協会のデータは、おそらく実感として、「おかしい」と感じている人が多いのではないかとしている。マンションやアパートの郵便受けには、まばらにしか新聞が投函されていないからだ。投稿者は、実態は0.4-0.5部位と推定する。

 では、この差は何であろうか? 新聞社で印刷された新聞は販売店に届くが、知らなかったが、何とそのかなりの部分は配達されないで、折り込み広告とともに古紙業者に渡り、廃棄されると言う(写真)。これを新聞社の押し込み販売にちなんで「押し紙」と呼び、古くからの新聞業界の習わしとか。

 何故、こんな資源の無駄遣いとも言える馬鹿な事をやるのか? それは新聞社と販売店の利益の源泉である広告費を高くするため。新聞社は発行部数が増えれば、広告の単価が上がり、販売店も仕入れ数が増えれば、折り込み広告の単価が上がる。つまり、新聞関係者は、「押し紙」大歓迎なのだ。

 それでも、販売店は過剰な仕入れの支払いで赤字になるかも知れない。その場合は、新聞社は「補助金」を出す。つまり、販売ルートの確保のために、「押し紙」と「補助金」を使って、新聞社は販売店をコントロールするのだ。

 こんな事を長年続ければ、内部告発などで、実態はばれるであろう。ただ、新聞社は、「押し紙」などは存在しない、販売店の要求部数を渡しているに過ぎないと開き直るそうだ。また、もし販売店が訴えようとすれば、新聞社は「補助金」をカットすると脅す仕組みである。

 この悪弊を今後も続ければ、新聞購読数の減少につれて、「押し紙」比率はますます増大し、ついに広告主も実際の購読者数が少なく、効果が少ないことに気が付き、新聞広告や折り込み広告から降りるであろう。現に、産経の夕刊東京版は、広告が集まらず、廃刊したのである。

 「押し紙」問題報道については、新聞やテレビなどのマスコミは、仲間内の事なので取り上げることはない。公正取引委員会、警察なども、百も承知のことらしいが、新聞の反撃が怖くて?黙認しているらしい。だが、新聞記者には、倫理観溢れる人も多いと思うので、身内の悪弊に正面から立ち向かう勇気を期待したいーー新聞が生き残るためにも。

 

2019年1月 2日 (水)

巨大経済連携協定

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39578500Z21C18A2MM8000/

 昨年末に、米国を除く11カ国の環太平洋経済連携協定「TPP11」(第一図)が発効した。2月には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効する。無益な関税貿易戦争を繰り広げる米中を横目に、世界の国内総生産(GDP)の約4割弱を占める巨大貿易圏(第二図)が動き出す。世界の保護主義の連鎖を防ぐ試金石になると日経は報じている。

 TPP11は日本を除く10カ国が最終的にほぼ全ての関税をなくす。日本も工業製品の100%、農林水産品の82.3%の関税を最終的に撤廃するそうだ。日欧EPAでも日本側が94%の品目で、EU側が99%の品目で、それぞれ関税を撤廃するらしい

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39578500Z21C18A2MM8000/

 この効果は大きい。2007年にチリとの間で、経済連携提携(EPA)が結ばれたが、ワインの関税が下がって、以降、チり産のワインの店頭シェアが明らかに急増した。逆に不参加の米中の打撃は大きい筈である。マスコミは安倍政権の詰まらぬ揚げ足取りに忙しいが、このTPPと欧州EPA提携は、米中を相手にせず、日本が世界と組んで保護主義に対抗する、非常に実質的かつ地道な政権・官僚の努力の成果であり、もっとPRされるべきであろう。

 ところで、この関税関係には、GATT、WTO、FTA、EPAとか、色んな言葉が登場し、ウサギさん含めて、素人には分り難いこと夥しい。そこでネットでちょっとお浚い。GATT(関税及び貿易に関する一般協定)は、1930年代の世界恐慌やブロック経済が諸国の経済的対立を激化させ、これが第二次世界大戦発生の一因にもなったとの反省から、1947年に生まれた。以降、各国で何度も関税の引き下げが行われ、128か国が参加するに及んだ。1995年より、GATTはWTO(世界貿易機関)へ移行し、参加国は164か国に上っている。

 地域間の貿易のルールづくりに関しては、過去WTOを通した多国間交渉の形が取られていたが、多国間交渉を1つ1つこなすには多くの時間と労力が取られるため、WTOを補う地域間の新しい国際ルールとして、FTAやEPAが注目されるようになった。FTA(自由貿易協定)は、特定の国や地域とのあいだでかかる関税や企業への規制を取り払い、物品やサービスの流通を自由に行えるようにする取り決めのこと。一方、EPA(経済連携協定)は、物品やサービスの流通のみならず、人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力や幅広い分野での連携で、両国または地域間での親密な関係強化を目指す協定で、最近はEPAが主流らしい。なお、日本は以下の国々とEPAを締結済であるーーASEAN諸国、豪、印度、メキシコ、チリ、モンゴル、ペルー、スイス。

 また、複数の地域の国々が関税などの同盟を結ぶ地域経済統合には、ASEAN(インドネシアなど10か国)、NAFTA(米国、カナダ、メキシコ)、EU(欧州連合)などがあり、TPPもその仲間の一種である。現在、策定中の主なものにRCEPがあるが、ASEANに、中国、日本、韓国、印度、豪州、ニュージーランドを加えたもの。中国が主導権を持つが、印度も入るので異常に大きな人口をカバーする大経済圏となるそうだ。

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