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2017年6月 1日 (木)

巨大ブラックホール

F1_5
 
http://www2.nao.ac.jp/~m87blackhole/
 
 ちょっと古い話だが、昨年12月のNHKサイエンスZEROで、「ついに解明、ブラックホール(BH)成長の謎」を見た。アメリカの重力波検出装置のLIGOが、2015年9月に重力波を検出した。その重力波の波形分析から、太陽質量の36倍と29倍のBHが合体して62倍の質量のBHが誕生した際に、この重力波は発生したものと判明したと言う。
 
 さらに、2015年12月に2度目の重力波を検出したが、今度は太陽質量の14倍と8倍のBHが合体して、21倍のBHが誕生したと分かったそうだ。一方、天の川銀河の中心部には、太陽質量の400万倍というとてつもなく巨大なBHがあるとされ、その成長の理由は不明であったが、今回の重力波の観測から、BH同士が合体して巨大化することが初めて分かったそうだ。その他にも、超新星爆発のガスを吸い込んで大きくなることも考えられると。
 
 この「巨大BH」に興味を持っていたが、4月にブルーバックスで、「巨大ブラックホールの謎ーー宇宙最大の時空の穴に迫る」という本が出版されたことを知り、早速買って読んで見た。著者の本間希樹は、国立天文台水沢VLBI観測所教授で、巨大BHの存在を確認するEHT国際プロジェクトの日本側責任者とか。
 
 現在輝いている太陽も、あと50億年もすると中心部の水素が燃え尽き、核融合が止まるので、重力に逆らう力がなくなり、構造はつぶれて白色矮星となる。太陽の直径140万kmに対して、白色矮星は地球サイズの直径1万kmしかない。
 
 さらに、太陽質量の10倍もある重い星が潰れると、原子核が壊れて全て中性子となって、超新星爆発を起こして、中性子星が生まれる。直径は20kmほどにまで劇的に縮小される。他方、太陽質量より30倍以上重い星の場合、密度無限大の特異点となり、いよいよ、BHが誕生する。その直径は6kmしかない。
 
 BHは重力が強くて、光も脱出できないから、暗い穴があるだけで何も見えない。物質や光を周囲から一度飲み込んだら出さない宇宙の怪物である。我らの天の川宇宙には、太陽のような恒星は、2000億個以上あるから、星の死骸であるBHは、1-10億個はあると考えられると。
 
 さて、この天の川銀河の中心には、先述のように太陽質量の400万倍もの質量の巨大なBHが存在するが、天の川銀河以外の各銀河にも、その中心に1個の巨大BHがあるらしい。全宇宙には、1700億もの銀河があるから、全宇宙に存在する巨大BHの数は気が遠くなるほど多いのだ。
 
 ただ、現在、電波望遠鏡で観測可能な手頃な巨大BHは、2個しかないそうだ。一つは、天の川銀河の「いて座Aスター」で、例の太陽質量の400万倍、2万5千光年の距離であり、二つ目は、天の川銀河ではない「おとめ座M87」で、太陽質量の何と30-60億倍もあり、5000万光年の遠方である。
 
 巨大BHを見た人は未だいないが、想像すると上の写真のようになるそうだ。真中に暗いBHの穴があり、そこへ降り立つ周辺のガスが降着円盤を作って、膨大なエネルギーを放出するので、BH周りは銀河の中では最も明るく光り輝く。また、ガスの一部がジェット流としてそこから吹き出している。
 
 この巨大BHの姿を撮像する国際的なプロジェクトのEHTが生まれた。各国の電波干渉計などのネットワークだが、特にチリのアンデス山脈のALMAが有名である。標高5000mのアタカマ高地に66台の巨大なアンテナ群が宇宙を睨むが、日本チームはALMAのハード・ソフトのEHT向けのモデファイを分担したらしい。この5月に巨大BH「いて座Aスター」と「おとめ座M87」を撮像し、来春にはその結果を報告すると言う。
 

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