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2016年11月30日 (水)

宇宙を創るダークマター

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 100kmウォークの会で大和に行った帰りに、久しぶりで藤沢のジュンク堂へ寄った。流石に、日本最大だけあって、本の種類は多く、本好きには一日楽しく過ごせるかも。やや、古い本だが前から気になっていた「宇宙を創るダークマター」(キャサリン・フリース著、2015年、写真上)を買った。
 
 長年、課題であったヒッグス粒子や重力波が発見され、今や物理界の次の宿題は、ダークマター(暗黒物質)の発見らしい。ご承知のように、我々が知っている物質は、宇宙のたった5%を構成するに過ぎず、残りの25%はダークマター、70%はダークエネルギーである。ダークと言うのは、検出できないと言う意味。
 
 例えば、地球は太陽の周りを公転しているが、もし、太陽の質量が今の4倍なら、地球の公転速度は2倍になる。1930年代、宇宙の星の公転速度の観測で、異常に速いものが見つかり、何か重いものがあるに違いないことが分かった。また、光は重いものがあると曲がるが、これらから、宇宙空間を満たす見えない暗黒物質の存在が予見された。
 
 この暗黒物質の正体として、ブラックホール(寿命が尽きた星の集積)、ニュートリノなどが候補になったが、いずれも宇宙規模では微量であることが分かり、現在の候補はWIMPという、弱い相互作用をする重い粒子とか。現在、WIMP検出を巡って、各国がもの凄い競争をしているらしい。著者は、中国が巨大な国家予算をつけ、アメリカの長年の成果を奪うと心配している。なお、日本のXMASS計画について、古いじょうで記から文末にコピーした。
 
 一方、1998年、従来の予想に反して、宇宙が加速度的に膨張していることが観測されたが、これは反重力が存在するためで、それに及ぼすものをダークエネルギーと名を付けた。ダークマターに比べて、まだ日が浅いこともあり、何者か分かっていないそうだ。大体の見当は、真空のエネルギーだが、暗黒エネルギーはまだ検出できていない。
 
 かって、学士会で佐藤勝彦東大名誉教授から教わったが、真空は何もないのではなく、物質と反物質が生まれてはぶつかって消滅することを繰り返して、エネルギーが変化して真空が揺らいでいるそうだ。この真空の相転移エネルギーで、ビッグバン直後のインフレーションも説明できるらしいーーウーン、真空にエネルギーがあるとは、分からん、難しい。
 
 ところで、著者のキャサリン・フリースは、とてもあけっぴろげな人だ。ドイツからアメリカに移住したが、両親が博士号を持つ家庭で、16歳で大学に入り20歳でプリンストンの物理を卒業した才女。12か所の修士課程に行けたが、東京で2年間バーテンダーをして、男性の誘惑撃退術を学んだらしい。シカゴ大で博士号をとり、カルフォルニア大、MITなどを経て、現在、ミシガン大教授。ダークマター探しを牽引する第一人者で、ダークマターウーマンと呼ばれる4人の一人とか。
 
 以下、2013.11.16の旧じょうで記(非公開版)を参考に載せる。
 
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 鈴木洋一郎著「暗黒物質とは何か--宇宙創成の謎に挑む」を読んだ。宇宙の全質量のうち、星や星間ガスなど「普通の物質」が占める割合はほんの5%弱しかない。残りの27%を暗黒物質(ダークマター)、68%を暗黒エネルギーが占めると。
 
 暗黒物質は今この空気中にも大量に存在するが、一切の光・電磁波を発しないため見る事が出来ず、未だ「正体不明の物質」。だが、暗黒物質がなければ、星も銀河も生まれず、まさに暗黒物質こそ宇宙創成の鍵を握ると見られるそうだ。
 
 その発見を目指して世界中で激しい競争が繰り広げられているが、日本も岐阜県神岡鉱山の地下1000メートルに、実験装置XMASS(写真)を2010年東大が造った。著者はそのプロジェクトリ-ダーで、暗黒物質とは何か、そのキャッチの仕組みや、XMASS建設の苦労話を分かりやすく語る。
 
 XMASSの心臓部は、摂氏マイナス100度に冷やされた1トンの液体キセノン。これを642個の光センサーを取りつけた断熱容器に収め、800トンの水を蓄えたタンクの中に設置する。
 
 暗黒物質に衝突されたキセノンの原子核は、周囲のキセノンを電離させるなどしてエネルギーを放出し、紫外線の検出が可能になる。ただ、暗黒物質の速度は秒速230kmで光と比べると遅く、運動エネルギーが小さいのが泣き所。あらゆる周りの材料などは微小な放射線を出すので、いわば雑音対策がもっとも大変だったと。
 
 余談だが、神岡鉱山の地下は実験物理のメッカである。1987年、初代のカミオカンデにてニュートリノの存在を確認して、2002年に小柴昌俊氏がノーベル賞を受賞。1998年、後継のスーパーカミオカンデで、戸塚洋二氏がニュートリノに質量があることを発見し、ノーベル賞間違いなしと言われたが2008年に急死。
 
 さらに、今度のXMASSに加えて、重力波の巨大な検出装置も建設中で2016年完成の見込み。暗黒物質や重力波がもし見つかれば、これはもうノーベル賞ものである。ただ、ノーベル賞も金次第となった感あり。(写真はどなたかより)
 
 2016.11追記。戸塚洋二氏の弟子の梶田隆章氏が、「ニュートリノ振動(質量)の発見」で、2015年ノーベル賞を受賞した。また、2015年アメリカのチームが「重力波」を発見している。
 

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