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2015年11月 3日 (火)

重力波

Fig5a

                               
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/gr/GWPOHP/whatgw.html
 今朝の朝日は、神岡の地下に155億円かけた重力波望遠鏡KAGRAが今月オープンするが、もしも、重力波が初観測されると、またノーベル物理学賞が確実だと報じている。ただ、米国が似た装置を9月に既に完成させるなど、海外のライバルも多く、日本の独壇場であったニュートリノの時の様には行かないと言う。そこで、今度は重力波をちょっぴり俄か勉強。
 重力波とは、アインシュタインがその存在を予測したが、未だに観測されていない「最後の宿題」とか。質量が運動するときに発生するもので、超新星爆発やブラックホールの誕生時などに大きな重力波が生まれる。この「時空の歪」は宇宙の彼方からさざ波のように光速で伝わって来る。ただ、極微小なため従来観測するすべがなかったらしい。
 しかし、重力波の観測方法は割合素人にも分かりやすい。上図で(1)からレーザー光線を発射し、(2)のビームスプリッタで光線を右と左に分ける。右の光線は(右3)の鏡で反射し、(2)経由(4)の検出器に到達する。一方、左の光線も(左3)の鏡で反射し、(2)経由(4)の検出器へ到達する。もし右腕の長さ右Lと、左腕の長さ左Lの長さに差があると、(4)の重なった像に干渉縞が生じる。
 例えば、Lが3kmの場合、7億光年遠方のヘラクレス銀河団から来る重力波の影響で、Lは1兆分の1の10万分の1mmほど、左右交互に延び縮みするので、もし重力波を観測すれば、円の干渉縞は点滅する筈だと。Lは長いほど感度は良くなるが、地球が丸いので4kmが限度。ただ、鏡を2個置くことで反射を繰り返し、70km相当まで伸ばしたらしい。観測対象が近ければ、それだけ感度が上がるが、事象の発生件数が数十年に一度とかになるので、どうしても感度が悪い遠方が対象になる。7億光年遠方まで範囲が広がれば、年に数回の観測チャンスがあると。
 さて、原理は簡単だが問題は各種の雑音。何しろ気の遠くなるような長さの微小変化が問題となるので、地上の1/100の地面振動となる神岡鉱山の地下深くに望遠鏡は設置した。次にサファイア検出器や鏡の熱雑音対策のため、摂氏マイナス253度まで冷却するが、そのために低振動の冷凍機を開発した。また、レーザーにも「光の量子性」という難しい性質の振動があるらしい。こうなると、物理学と言うより低雑音工学と言った方が実態に近いか。
 重力波の研究の歴史は、その直接的な観測は困難を極め、失敗の連続だったらしい。ただ、間接的な存在証明は、1979年に既に成功した模様。アメリカのハルスとテーラーは、連星中性子星の公転周期の観測から、重力波の存在を理論と観測の両方から証明し、1993年のノーベル物理学賞を受賞していると。
 ところで、我々が通常使う「重力」と「重力波」とは、紛らわしいが何が違うのであろうか? 重力はリンゴと地球が引き合うような二つの物質間に働く作用であり、質量が動くとき発生する重力波とは全く違う概念。この重力が伝わる速度は、ニュートンの時代には即座(無限大)と考えられていたが、アインシュタインはこれも光速と予想した。この重力の伝搬速度が光速であることが初めて観測されたのは、実に2002年のクェーサーの電波が木星の重力で曲がる測定だったと言うから驚きである。重力といい重力波といい、物理学のこの分野は極めて難しく苦戦してきたようだ。

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